テレビCMも字幕の世界・味の素が食品業界では初の字幕テレビCM放送開始
2014/04/03 08:00



↑ 「ほんだし」たけのこのだし炊きご飯篇。CM放送そのものはすでに展開中だが、該当番組では字幕機能が実装されることになる」
テレビで放送される番組では1985年以降放送法に基づき、セリフやナレーションが文字で表示される字幕対応が実施されてきた。特に昨今はデジタル放送化、テレビそのものの大型化、さらにはスマートテレビ化に伴い、多くの番組で字幕が導入されている。一方で放送電波の送出インフラの未整備などを理由に、テレビCMの字幕導入は遅れた状態にある。
高齢化が進み難聴者数の増加が想定される中、このような状況を打破すべく、2010年頃から首都圏の放送局を中心としてインフラ整備が進展。それと共に字幕入りのテレビCM導入も進められてきた。総務省のCM字幕ワーキンググループも設置されたが、味の素もそのグループに参画しており、それを機会に今回、自社提供番組で字幕テレビCMを導入する運びとなった。
字幕テレビCMでは、テレビのリモコンなどにある「字幕ボタン」をオンにすることで、通常のテレビ画面に文字情報が呼び出され、番組を字幕付きで視聴できる。字幕CM付きの番組中でオンの状態を継続していると、該当CMではCMそのものにも字幕が表示される次第。

↑ 「ピュアセレクト マヨネーズ」(左)と企業メッセージ広告(右)
今回導入の字幕付きテレビCMは、味の素が一社提供している番組、「世界にひとつ ミラクルレシピ」(テレビ朝日系列・毎週土曜日18時半から18時56分放送)で放送される。放送予定のCMは「ほんだし」「味の素」「味の素KKコンソメ」「パルスイート」「ピュアセレクト マヨネーズ」「COok Do」「味の素冷凍食品」などの各商品CM、そして企業メッセージ広告となる。なおテレビの機種や受信方法、一部地域では字幕を表示できない場合がある。
味の素側では今回の試みについて、自社提供番組内での字幕テレビCMの放送を継続しつつ、さらに他番組への展開を検討、最終的には多言語字幕の実現にも取り組んでいくとしている。
リリースなどで「食品業界では初めて」と表記されている通り、すでにトイレタリー系企業ではテレビCMの字幕導入がなされており、視聴した経験のある人も多いはず。テレビ番組内で字幕表示が出来る選択肢が導入されている理由(音声を聴き取りにくい人向けのアプローチ、高齢化社会の浸透に伴う該当者の増加)を思い返せば、テレビCMにも導入される意味・意義はすぐに理解できる。技術的、インフラ上の問題で乗り越えねばならないハードルはあるものの、今件の味の素の事例のように、少しずつでも確実な進展が、今後もなされることを願いたいものだ。
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