TCAの携帯電話事業者別契約数の動向、四半期ペースに変更へ
2014/04/07 16:05



↑ 携帯電話契約件数(増減)(-2014年3月)
携帯電話市場の拡大を受けてTCAでは1996年以降、月次で携帯電話などの事業者別契約数を公表してきた。これは携帯電話の市場規模を速やかに伝えるという役割を有している。一方で携帯電話の所有率が(契約数ベースで)一人一台以上に達する現状においては、市場そのものが拡大・成長期から成熟期に移行したとTCA側では判断。月次による速やかな業界動向の公知の必要性は薄れたとの認識に至り、今回の決定と相成った。
一方、携帯電話市場の動向を探る指標の提示は欠かせないこと、管轄官庁の総務省側でも四半期毎の報告は求めていることから、発表そのものを取りやめるのではなく、2014年4月分以降は四半期毎に、各事業者が公表する契約数を絡めて、TCAの公式サイト上で公開する方針に変更することとなった。
昨今では携帯事業者における高額のキャッシュバッグやいわゆる「ゼロ円携帯」販売も姿を消し、携帯市場は明らかに変貌を遂げつつある。この動きについて、高速通信関連の設備投資の負担の帳尻を合わせるためだとの分析もある。今件の月次発表の停止は、MNP(ナンバーポータビリティ)の煽りを招きかねないデータを止めることで、過度の契約者の奪い合いに歯止めをかけるとの分析も出来、根っ子の部分は同じと見ることができる(MNPで生じる負担を減らし、設備投資に充てる。MNPの過度な競争を抑えるには、それを後押ししうる情報発信を緩やかなものにすればよい)。
またTCAの発表値においては、MVNO(仮想移動体通信事業者)や通信モジュールなどの値も契約数に含めるため、携帯電話そのものの市場を反映しにくくなっているとの指摘も少なくない。一方、携帯事業者各社においては主要事業の隆盛動向を示すものであり、投資家の投資判断材料の一つとして、契約数動向を開示してきた意味もある。月次データの公開取りやめは、明らかに投資判断上の情報量の減退につながるため、この点に関する各社の対応が気になるところ。
ともあれ、4月以降においては、携帯電話の契約数などの各社データは、先行したイー・アクセス同様、四半期単位の公表となる。この施策でどこまでMNP関連の競争動向をはじめ、携帯市場に思惑通りの変化が生じることになるのか。注目したいところではある。
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