牛丼戦線異常あり!?「東京チカラめし」約8割の68店舗がカラオケ店のマックに売却

2014/04/11 07:00

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東京チカラめし牛丼チェーン店「東京チカラめし」を運営する三光マーケティングフーズは2014年4月10日、東京チカラめし88店舗のうち約8割にあたる68店舗(フランチャイズ店は除く)について、会社分割方式で新会社「チカラめし」に継承させた上で、その全株式をカラオケボックスを経営するマックおよびそのグループ会社のユウシン、マイビス(マックグループ)に譲渡すると発表した。売却額は現時点では未定。残りの20店舗は三光が運営を続けるが、業態の再編を含めた見直しを実施する(【発表リリース:新設分割及び新設会社の株式譲渡に関するお知らせ】)。


↑ 東京チカラめし
↑ 東京チカラめし

「東京チカラめし」は2011年6月に三光マーケティングフーズが展開を開始した、牛丼をメインとした外食チェーン店。従来の牛丼店で展開されている煮牛丼ではなく、焼いた牛肉を用いた牛丼「焼き牛丼」が特徴の牛丼店で、その斬新さを受けて人気を集め、牛丼業界では風雲児的なポジションとして成長を果たし、2012年9月には100店舗を達成した。また「焼き牛丼」というスタイルはいわゆる牛丼御三家の吉野家、松屋、すき家にも大きな影響を与え、御三家からも順次焼きスタイルの牛丼が発売されている。

しかし御三家の焼き牛丼参入に伴い、先行する「東京チカラめし」側の訴求力は相対的に低下。多種多様なメニューで差別化を図るも、同社独自の個性化までには結びつかず、逆に一般的な大衆食堂的雰囲気が強まり、没個性化。さらに味や店内の雰囲気の点でも指摘が相次ぐ状況も見受けられるなどの状態変化を受け、業績も減退。2013年6月期では前年期の17億5100万円の営業利益から転じて1億7900万円の営業赤字を計上、現在進行期の2014年6月期では営業赤字は24億円に拡大する見込みに陥っており、三光側では業態の大規模な改革か事業そのものの撤退かの判断を迫られていた。

東京チカラめしの焼き牛丼今回三光は居酒屋事業への経営資源集中が必要とし、「東京チカラめし」は事業の縮小の必要があると判断。フランチャイズ店以外の68店舗を新設子会社「チカラめし」に2014年6月2日付で譲渡した上で、その子会社をカラオケボックスを経営し、子会社で飲食店も営むマックグループに同日付で売却することとなった。残りの20店舗は三光側が「東京チカラめし」という業態そのものの再編も含め、見直しを実施するとのこと。

数多くの実食レポートなどからも明らかな通り、「東京チカラめし」は「焼き牛丼」というメニューの斬新さとレパートリーの豊富さがセールスポイントではあったものの、メインの「焼き牛丼」そのものが汎用化し、多様なメニューが逆に没個性化をもたらすと共に、店内環境及びメニューの品質管理・維持に問題があり、展開当初の勢いを保つことが出来なかった。また牛丼御三家の営業成績動向や、いわゆる「鍋特需」にも表れているが、外食産業全体におけるトレンドの変化に、「東京チカラめし」が対応しきれなかったのも、営業成績の悪化の一因といえる。

今後「東京チカラめし」の大部分はマック傘下として、残りは引き続き三光の経営のもとで展開されることになるが、いずれの店舗においても、販売スタイル、さらには業態そのものがどのような形となるのかは未定。構成メニューをはじめ、大きな変化が見られるかもしれない。


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