国民生活センター、電子タバコの安全性に注意勧告・厚生労働省も監視指導の徹底を自治体に依頼

2010/08/19 07:03

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電子タバコ国民生活センターは2010年8月18日、【電子タバコの安全性を考える】という題目で「電子タバコ」に関する調査結果を発表した。消費者へのアドバイスとしては「安全性は根拠が不十分」「禁煙・減煙効果ははっきりしない」「ニコチンが含まれる電子タバコも販売されているので注意を要する」などという厳しいものだった。これを受けて厚生労働省側でも消費者に注意を呼び掛けると共に、都道府県に対して薬事法に基づき、販売者などへの監視指導を徹底するよう依頼するアクションをとっている(【厚生労働省・発表リリース】)。


【女性は微増 喫煙率23.9%】【年齢別成人喫煙率をグラフ化してみる(2009年度反映分)】などにもあるように、喫煙率は漸減状態を続けているが、一方で昨今では「電子タバコ」なるものが注目を集めている。これは電力を使って霧状の気体を発生させる吸引機で、その気体を吸引することでたばこの代替品とするもの。火気を使わない、副流煙が発生しないなどの特性もあり、2年ほど前から話題を集めている。国民生活センターには2010年6月までに相談が309件寄せられており、特に昨今相談が増加していることを受けて、電子タバコに関する各種調査を実施した。

テスト対象銘柄は日本国内の販売品25銘柄45種類(味)、さらには個人輸入品2銘柄2種類。

結果として

・国内販売品では11銘柄15味でニコチンを検出
 ※ニコチン入りの電子タバコを国内で販売することは薬事法に抵触する
・カートリッジ内の液成分表示があったのは25銘柄中11銘柄のみ
・安全である旨の表示がみられたが、対象や根拠が不十分であったり、不明瞭なものが多かった
・使用対象年齢に関する表示があったものは25銘柄中16銘柄のみ
・3銘柄で充電器にPSEマークの表示がなく、3銘柄でPSEマークが通常の使用状態では見えないところに表示されており、電気用品安全法に抵触するおそれがあった
・ニコチンが検出されたものがあったにもかかわらず、回答があった全ての事業者は、ニコチンは含有していないと回答
・多くの事業者が安全性を把握しているとの回答であったが、多くは成分を飲み込んでしまった場合の安全性や衛生性と考えられるものだった
・多くの事業者は、電子タバコを禁煙あるいは減煙の目的で設計し、効果があると考えて販売していた
・多くの事業者は、未成年者は使用するべきではないと回答しながら、表示以外の対策を講じていなかった

などの問題点がテストから浮かび上がった。これを受けて国民生活センターでは消費者に対し

・電子タバコの安全性は根拠が不十分であると考えられるので、安易な使用は避ける
・禁煙あるいは減煙の効果ははっきりしないと考えられるので、その効果を期待して継続的に使用することは避ける
・未成年者が安易に使用しないよう保護者等が十分に注意する
・国外ではニコチンが含まれる電子タバコが販売されているので、購入・使用・譲渡には注意する

と、使用禁止勧告に近い忠告を行っている。これを受けて厚生労働省側でも消費者に対し同様の注意喚起を行っている。

電子タバコは入手の容易さや、一部業者側による「禁煙・減煙に役立つ」的な展開から、急速に認知されるようになっている。一方で早くも2008年9月にはWHOが電子タバコの安全性・効果に対して疑問を呈するなど、さまざまな問題点も指摘されている。今回の国民生活センター及び厚生労働省の発表で、電子タバコ業界にどのような動きが見られるのか、注目したいところだ。

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