三井造船(8031)、マレーシアでバイオエタノールの実証実験を開始・アブラヤシの空果房を利用

2011/01/18 07:23

パームオイルの製造工程で排出される空果房(Empty Fruit Bunches、EFB)【三井造船(8031)】は2010年12月28日、マレーシアのパームオイル産業では民間最大手となるサイムダービー(Sime Darby、SD)の研究開発部門を担当するサイムダービー・リサーチ(Sime Darby Research Sdn. Berhad)と、マレーシアの主幹産業であるパームオイルの製造工程で排出される空果房(Empty Fruit Bunches、EFB)を原料としてバイオエタノールを製造する世界初のデモンストレーションプラントの建設・運転・技術実証を7月に合意し、近く完成の見込みであることを発表した。SDテナマラン搾油工場に隣接するデモンストレーションプラントでは、2011年2月より1.25トン/日のEFBを原料にエタノールが生産され、製造技術の実証を行うためのデータ収集が行われることになる(【発表リリース】)。


↑ EFB(Empty Fruit Bunches)のようす。
↑ (参考)EFB(Empty Fruit Bunches)のようす。【直接リンクはこちら】

バイオエタノールに関する研究は以前から行われていたが、数年前の金融危機に関連した商品市場の高騰・原油価格の暴騰に伴い、原油代替燃料として、そして地球温暖化対策として、再生可能燃料の開発に注目が集まっている。そうした中、植物など生物由来のバイオ燃料の開発が世界中で試みられている。しかし、従来の可食性植物を原料とするバイオ燃料の製造は、食料との競合という問題を引き起こしているのが現状(要は食料不足の中で、なぜ燃料のために食料を費やさねばならないのかという問題)。

アブラヤシのEFBを原料としたバイオエタノールの製造は、非可食かつ繊維性のバイオマスを原料とする第2世代バイオ燃料にあたり、これらのバイオエタノールに関する問題をクリアすることになる。

バイオエタノール製造は技術・実験レベルではかなりの域に達しているが、これを商業化するには、年間を通じて低価格で大量の原料の長期安定供給が不可欠となる。一方、マレーシア、インドネシアは、世界のパームオイルの約9割を生産し、搾油工場で排出されるEFBは年間4000万トンに達している。このため、2か国はバイオエタノールの原材料を豊富に産出するという点で、製造に最適な場所であるといえる。そしてEFBによるバイオエタノール生成は廃棄物の有効利用に貢献することになる。

三井造船ではこれまでNEDO共同研究などを通じて、第2世代バイオエタノール製造技術を自主開発してきたが、2010年2月にInbicon社(デンマーク)と、ソフトセルロース系バイオマスの水熱法前処理技術に関して技術提携(ライセンス契約)を行っている。今回マレーシアに展開するデモンストレーションプラントには、このInbicon社の技術ならびに三井造船独自の技術が適用されることになっている。なお、Inbicon社は第2世代バイオエタノール製造プラントとしては世界最大規模のパイロットプラントを2009年11月に完工し、運転中。

SDおよび三井造船は、三井物産からプレ・マーケティング協力を得つつ2008年から今件に係る事業開発に取り組んでいる。デモンストレーションプラントで得られたデータに基づき、SDと三井造船は、早期の商業化プラントの稼働開始を目指すことになる。製造されたバイオエタノールは、バイオエタノール混合ガソリンや、環境に優しい化学原料としての利用が想定されている。

数年前に生じた商品価格の高騰による原油高とそれに伴うバイオエタノールブームも、その後の価格安定化で潮を引くように大人しくなった感はある。しかし昨今では再び原油価格は値上がりの傾向を見せ(以前と比べてまだ大人しめなのは円高・ドル安が進んでいるから)、再び注目が集まりつつある。今件のマレーシアにおけるバイオエタノール生成事業では、従来廃棄処分とされていたEFBの有効活用という観点においても注目すべき内容といえる。具体的成果と量産化のためのノウハウ・技術の蓄積に期待したいところだ。


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