日本テレビがアニメ制作のマッドハウスを子会社化
2011/02/09 06:40



↑ マッドハウス制作の『スーパーナチュラル・ザ・アニメーション』のトレーラー。【直接リンクはこちら】
マッドハウスは1972年に、虫プロダクションに参加していたスタッフを中心としてスタートした老舗中堅アニメ制作会社。「メトロポリス」、「バンパイアハンターD」などの劇場作品、「カードキャプターさくら」「はじめの一歩」などのテレビシリーズに代表されるような、多彩なアニメ作品を発表している。また「獣兵衛忍風帖」「千年女優」などは、海外において高い評価を得ており、マッドハウスの名前は海外においても広く認知されている。さらにマッドハウスは、米国マーベル社の有するキャラクターを基にしたアニメ作品を制作する権利を与えられており、「アイアンマン」「ウルバリン」などをアニメ化している。
日本テレビでは元々マッドハウスの株式10.4%を所有する第2位の株主でもあり、近年では、深夜テレビアニメ枠での共同製作、また日本アカデミー賞「最優秀アニメーション作品賞」をはじめとする数々の賞を獲得し、興行的にも大ヒットした劇場アニメ「サマーウォーズ」を共同製作するなど緊密な関係にある(筆頭株主は【インデックス(4835)、ガイアックス(3775)のゲーム部門買収】などで触れているようにインデックス)。
一方マッドハウスの経営状態は、リーマンショック後の激変した経営環境への対応に苦慮しているのが実情。そこで日本テレビとしては、マッドハウスの有するアニメ制作力とブランド力を高く評価していることから、マッドハウスを日本テレビグループ内に取り込むことで、映画、放送、商品化、ビデオグラム化、VOD 配信など、日本テレビグループ内においてこれまで以上に広くビジネス展開ができると判断。マッドハウス自身やマッドハウスの親会社である株式会社インデックスと協議した結果、マッドハウスによる第三者割当増資約10 億円を全額引受けることが決まった。
今回の第三者割当増資引受の結果、日本テレビ持分は約85%となり、マッドハウスは日本テレビの子会社となる。今後は日本テレビよりコンテンツビジネスに精通した人材を経営陣として派遣して、マッドハウスの持つアニメ制作力と日本テレビグループの企画力、営業力を結合させ、市場ニーズにあったアニメ作品を生み出すと共に、日本テレビの有するコンテンツ管理ノウハウなども導入。3年後には年間営業利益3億円を目指すとしている。
今回の子会社化について日本テレビ側では自社のメリットを「日本テレビの強みを活かして事業ポートフォリオの多様化を図るという、日本テレビグループの中長期戦略に沿ったものであり、中期的に日本テレビグループの企業価値向上に資する」と説明、アニメ分野で更なる注力を図るための礎、経営資源の強化であるとしている。
【テレビ局の年収をグラフ化してみる(2011年1月版)】でも触れているが、日テレはダイナミックなリストラを続けており、企業体質のスリム化を推し進めている。そのような中で今回の子会社化劇が行われたのは、単純に「お買い得」だったのか、それとも「救いの手」を求められたのか。あるいはスリム化をある程度成し遂げ、攻勢に転じたのかもしれない。

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