【更新】節電対策としてのサマータイム制度に日本公開天文台協会など、反対を表明

2011/04/20 19:30

夏日本公開天文台協会(JAPOS)は2011年4月19日、昨今の東京電力管轄内の電力需給問題に絡み、一部で導入推奨の声が挙がっている「サマータイム」について、これに反対する声明を発表した。理由としては「節電効果の有効性を検証する上で考慮すべき点、検証されてすらいない点も少なくない」「自然と生活との調和を念頭におけば、むしろマイナス要素が大きい」としている([発表リリース])。

【東電、計画停電は6月3日まで「原則不実施」】などで解説しているように、今般の東日本大地震・震災によりとりわけ東京電力管轄内での電力供給力に不足が生じており、このままでは夏季において数百-千数百万kWレベルでの電力不足が起きかねない状態にある。需要・供給双方の面で各方面で尽力が続けられているが、その中で一つの方策として「サマータイム制を導入しては」というものがある。

「サマータイム制」とは簡単に説明すると、夏季において公的レベルで時間を進め、昼の時間を長くするもの。公的に導入を検証する段階では無いが、【3月22日付の蓮舫内閣府特命担当大臣記者会見要旨】【3月31日付の経団連による「震災復興に向けた緊急提言」】などにその文言が確認でき(複数の政治・経済界要人の口に上がり)、少なくとも導入検証の対象に登っていることが確認できる。

日本公開天文台協会ではこの動きについて、節電効果には有効性の確証にあたり考慮が必要な要素が多く、自然と生活との調和を念頭に置いて活動している同協会としては、その導入に反対を表明せざるを得ないとした上で、その考慮の点に関して

・サマータイム制は、年に二度の時刻の書き換えを要する。会社、家庭、公共機関等に配置されている時計、コンピュータ、GPSその他の機器の時刻の書き換えには、その前後で多くの人的作業が発生する。一見、単純に見えても、時間の変更に伴う設定や仕様の変更は広範囲に及ぶことが多く、膨大な作業とそのための電力消費を伴うことが予測されるが、この点の評価が存在しない。

・日本睡眠学会・サマータイム制度に関する特別委員会では、睡眠覚醒リズムが混乱し健康を害する可能性を指摘している。さらに、同委員会では、日本人の文化とライフスタイルの特性から、睡眠時間の短縮を危惧している。後者は、電力消費の増加をもたらすものとして懸念されるが、この点の評価はまだ。

・上記の要素は、人的、物的に疲弊している被災地においては、特に大きな問題となる。災害復興への悪影響が懸念される。

とし、主に同協会が携わる観点から、考慮すべき点が多く、また仮に導入すれば逆効果の要素が大きすぎるのではないかとする懸念を呈している。

その上で、節電を目的とするのであれば、サマータイム制を導入するよりも、フレックスタイム制の拡充、日照時間の増加とともに生活時間をずらすことを推奨する方が、社会生活にも、生産活動にも大きな負荷がかかりにくく、節電努力の社会的な要請に対し、各層の柔軟な対応が可能になるとし、建設的な提案を行っている。

サマータイム導入という考えについては、各所から反対・否定の声が挙がっている。例えば東京大・坂村健教授は毎日新聞のコラム記事の中で

一律時計を進めるようなサマータイム制は多くの人も指摘しているようにピークを崩さずそのままズラすだけ。そもそも「電力需要のピークを生むのは真昼の空調」という現代では、太陽の出ている時間に社会活動量を増やすことが本質的目的のサマータイムは省エネどころか増エネ要因になる。なにより時計をいじるというのは意図的に「コンピューター2000年問題」を引き起こすようなもの。当時「コンピューターが狂って原子炉が大爆発」などとあおっていた「識者」がいたことを思えば、いまの状況でサマータイムを言い出すのは悪い冗談としか思えない。

と、仕組みを解説した上でサマータイムの導入を「愚策」と断じている。

何か制度を導入したり変更しようとする場合、イメージ的な、あるいは表面的なメリットばかりに目が行き、直接的なデメリットや、間接的・二次的に発生する影響には目もくれない、あるいは無視をする。そのような愚策・愚行を人は時として判断してしまうことがある。あおり立てたり感情論に走るようなことをする人たちがいるのも問題だが、もう少し、ほんの少しだけ論理的・理知的に物事を考えてほしいものだ。

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