電気自動車と路面電車・ヤマト運輸が手掛ける環境配慮への挑戦
2011/05/18 19:30


●路面電車を活用した集配システムの導入
ヤマト運輸が京福電鉄と共同で始めるのは、物流ターミナル(荷物のターミナル駅のようなもの)と嵐山担当営業所(地域の荷物集配所)との間の荷物の輸送に、これまでの配送トラックではなく、京福電鉄の路面電車「嵐電(らんでん)」を利用するというもの。

↑ 輸送概念図
嵐電の車両を貨物車両として一両貸し切り、その中には「リヤカーに装着する集配用コンテナを搭載した台車ごと」積みこんで輸送。京福電鉄の嵐山駅や嵐電嵯峨駅で台車が降ろされ、駅では待機していたヤマト運輸のドライバーが受領。そのままリヤカー付き電動自動車に積み込み、各お客まで配送される。

↑ 試験運用時の様子
要はJRなどで行われている「貨物列車」と「輸送用トラック」のコンビネーションによる貨物輸送を、「荷物」も「規模」も「利用する車両」もミニサイズ化して実施するようなもの。このシステムの導入で、トラックの利用を減らすことができる。さらに今後、リヤカー付き電動自転車でカバーできない嵐山周辺地域では、後述する商用軽電気自動車を今年度中に導入する予定とのこと。
●商用電気自動車「MINICAB‐MiEV(ミニキャブ・ミーブ)」を100台発注
同日発表されたのは、三菱自動車が2011年4月1日に【発表した】、軽商用電気自動車『MINICAB-MiEV(ミニキャブ・ミーブ)』の100台受注。すでに2010年10月から三菱とヤマト両社で実証走行実験が行われており、この結果を踏まえてヤマト側では「宅配事業において軽商用EVは対応可能」と判断。導入が決定された。

↑ MINICAB-MiEV(ミニキャブ・ミーブ)実証試験車(【三菱自動車内公式サイトより】)
ミニキャブ・ミーブは物流ターミナル「羽田クロノゲート」建設と合わせて集配中の二酸化炭素排出ゼロを目指している東京羽田地区、そして上記の路面電車活用によるモーダルシフトが行われる京都市で展開される。100台のミニキャブ・ミーブは本年末に納車開始予定で、2011年度中に30台、2012年度以降に残り70台を現場に配備する計画。
電気自動車100台の一括発注はやや大きめな規模ではあるが、京福電鉄のモーダルシフトの試みと合わせ、ヤマト運輸側では実施運用も兼ねた大規模な実証実験、そしてノウハウの蓄積をしているようにも思える。京福電鉄の件はローカル線との組み合わせて地方地域に応用が可能となりうるし、電気自動車の導入は比較的狭い地域に多くの顧客が集中している都市圏での運用が想定できる。
今後環境の変化や技術の進歩にあわせ、環境負荷の軽減という大方針のもとで、さまざまな事例に対応できるよう経験の積み重ねとマニュアル化を進めながら、対応範囲を広げて行くのだろう。
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