博報堂DYグループ会社、チラシのみを「新聞販売店」が配布するサービス「とどくる」を展開へ

2011/07/07 12:00

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とどくる【博報堂DYホールディグス(2433)】のグループ会社博報堂であるDYメディアパートナーズは2011年7月6日、新聞を定期購読していない家庭にチラシを配布する、会員制マーケティングメディア事業「とどくる」を同年10月1日から開始すると発表した。年会費無料。新聞朝刊と同じ時間帯に宅配される(【発表リリース】)。


↑ 「とどくる」表紙見本
↑ 「とどくる」表紙見本

「とどくる」は年会費無料の会員制サービスで、申し込みをした生活者の自宅へ、新聞販売店がチラシのみを宅配する。新聞朝刊と同じ時間帯で宅配が行われるため、本来の新聞折込広告手法が持っているターゲットのセグメント性、即効性を損なうことなく実施することが可能となる。

広告主にとって、「とどくる」は既存の折込広告を補完するマーケティング手法であると同時に、「新聞を購読していない世帯にもチラシを配布したい」という広告主のニーズを解決し、マーケティングコミュニケーションの効果をさらに高めることが可能になる。同時に「新聞は購読していないがチラシは欲しい」という、(最近増加傾向にあることが容易に想像できる)一部生活者のニーズに応えることにもつながり、(新聞離れが進む)若年層や単身世帯などにも効率的にアプローチできることになる。

「とどくる」会員募集は2011年7月8日から行い、会員宅へのチラシ配達は同年10月1日から(当初は)毎週土曜日の実施を予定している。当初は埼玉県、千葉県、東京都の一部でサービス提供を行うことになる。

サービス開始時の具体的な実施地区は次の通り。

A 千葉県浦安市、市川市、東京都江戸川区
B 埼玉県草加市、越谷市、春日部市、東京都足立区

なおサービス実施地区や実施曜日は拡大予定とのこと。

上に掲載した表紙見本にもあるように、今件サービス名はチラシが「届く」と「来る」を掛け合わせ、「とどく・くる」で「トド(が、チラシを持って)くる」という意味合いを持たせたもの。ちょっとしたシャレによるものだが、最近流行りの「ひらがな4文字」でまとめたサービス名は好感が持てる。

似たようなチラシのみの提供サービスとしては、当サイトでも以前【「チラシ」+「テレビ番組表」=「無料配布」……リクルートの「無料宅配サービス」をのぞき見る】【無料でiPadからチラシをチェック・電子チラシサイト「Shufoo!」、iPad・iPhoneなど向けアプリを公開開始】などで紹介しているように、アナログ・デジタル媒体を問わず複数の企業がトライアルに近い形で展開している。しかし流通網の問題や、媒体の違いによる受け手側のデジタルデバイド問題(デジタル端末の利用は、やはり紙のチラシよりはハードルが高い)、そして何よりも既存新聞との競合による問題があり、なかなか大規模な展開にまでは至っていない。

今回の「とどくる」最大のポイントは、「既存の新聞販売店」が「既存の新聞と同一時間帯」に「とどくる」を配布すること。恐らくは「とどくる」の表紙をつけた袋の類にチラシのみを納め、新聞と同じようなスタイルで会員へ配布が行われるのだろう。「とどくる」が「年会費無料の会員制サービス」であることを考えると、どこから「とどくる」そのものの運営費や利益、そして新聞販売店への費用をねん出するのか、かなり気になるところではある。

同時に、これまで以上に新聞そのものの意義を損なう形にはなるが、新聞販売店にはむしろプラスとなる可能性も秘められている(極論として、毎日「とどくる」だけを届けるようにすれば、新聞本体は不要でチラシのみが欲しい人には、完全代替手段となる)。詳細の公開や、実際のサービスの展開に伴う利用報告もあわせ、今後の情報の開示に注目したいところだ。


■関連記事:
【新聞のいわゆる「押し紙」問題を図にしてみる】

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