燃費2割減を実現…三菱重工業、さやえんどう型LNG船「さやえんどう“EXTREM”」の開発完了

2011/07/13 12:00

「さやえんどう“EXTREM”」【三菱重工業(7011)】は2011年7月12日、次世代型のLNG(液化天然ガス)運搬船として、球形タンクを搭載するMOSS(モス)方式(タンクを円筒形の支持構造で固定する方式)を進化させた「さやえんどう“EXTREM(エクストリーム)”」船型の開発を完了したと発表した。タンクを船体と一体化した連続カバーで覆うことで船全体の構造を効率化し、軽量・コンパクト化を実現。三菱重工側ではこの方式の採用により燃費を従来船比で2割以上改善し、経済性を向上、ターミナルへの適合性やメンテナンス性を高めた。同社ではLNG船分野をリードする戦略製品として、早期受注を目指すと説明している(【発表リリース】)。

↑ さやえんどう“EXTREM(エクストリーム)
↑ さやえんどう“EXTREM(エクストリーム)

↑ 比較資料・モス方式のタンカー
↑ 比較資料・モス方式のタンカー(【What is Required to Bring LNG to Hong Kong】より)

「さやえんどうEXTREM」の名称は、連続したカバー(さや)の中に、球形タンク(まめ)を納め、さやえんどうに似た外観を持つことに由来する。これまでの MOSS方式では、船体甲板上に突出したタンクそれぞれの上半球部分を半球状のカバーで覆い、下半球部分をスカートと呼ばれる円筒形の構造で支持しているのに対し、タンクすべてを船体と一体構造の連続カバーで覆うことにより、船体の全体強度を確保した。また従来の方式ではタンク頂上の配管、電線、通路を複雑な構造で支えていたが、それらの構造を不要にできるため、メンテナンス性も大きく向上する。

連続カバーは、推進上抵抗となる風圧を大幅に軽減し、実運航上の燃費低減にも寄与する。さらには、支持構造物や艤装品の露出を少なくできること、氷による衝撃荷重に強い船体にしやすくなることなどから、寒冷地・氷海領域向けとしても適している。

今回基本設計を終えたタイプは長さ288.0メートル、幅49.0メートル、深さ26.0メートル、喫水11.5メートルで、総トン数13万8000トン。球形タンクを4基搭載し、LNGタンク総容積は15万5000立法メートルとなっている。このほか、今後高まってくるNew Panamax型(2014年に拡張工事の完了が予定されているパナマ運河を通れる最大船型で、従来型より大きい)などの需要にも対応する。

MOSS方式の同型船と比べ、タンク中央部に約1.5mの円筒部(ストレッチ部)を挿入することにより搭載LNG量を約8000立法メートル増加させ、船体鋼材重量は約5%軽減。また、船体の深さも1メートル近く削減し、荷役や通行性の面から国内外の主要ターミナルへの適合性を向上させている。

同船には、蒸気を再度加熱利用することで熱エネルギー効率を高めた新型蒸気タービン機関「MHI Ultra Steam Turbine Plant」(UST:再熱舶用推進蒸気タービン)を主機として採用。小型・軽量化と相まって従来船比20%以上の大幅な燃費低減も実現したものとなっている。

MOSS方式のLNG船は、タンク構造の信頼性の高さや、耐スロッシング(揺動に伴うタンク内液面の周期的なうねり)性などから、万一の場合のターミナルからの緊急離岸も容易であり、環境条件の厳しい海域にも適した船型として広く普及している。今回開発された「さやえんどうEXTREM」は、MOSS方式の長所を活かすとともに省エネ・地球温暖化抑制性能やLNG輸送能力も高められており、同社では今型を次世代型LNG船の切り札と位置づけ、積極的な営業活動に取り組んでいくと説明している。

【天然ガスの生産・貿易動向をグラフ化してみる(エネルギー白書2010版)】などでも説明しているように、昨今ではこれまで以上にLNGへの注目が集まっており、輸送需要もさらに増加することは容易に想像できる。信頼性も高く燃費も良い「さやえんどう“EXTREM”」は多くの船会社やガス会社の注目を集めるに違いない。


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