九州電力の苅田火力発電所が停止・供給余力はほぼゼロ-1.9%に減少

2011/08/05 05:16

苅田火力発電所九州電力は2011年8月4日、石炭火力発電を行っている苅田発電所新第1号機(出力36万kW…蒸気タービン:29万kW、ガスタービン:7.5万kW)について、同日16時11分に運転を停止したと発表した。ボイラーチューブより蒸気が漏洩している可能性があると判断されたためで、ボイラーの冷却が終わる7日以降内部点検を開始することになる。この停止により、同電力管轄における推定最大需要発生時での電力需給余力は現行の2.2%-4.0%から、ほぼゼロ-1.9%に低下する(【発表リリース】)。

↑ 同発電所発電鳥瞰図
↑ 同発電所発電鳥瞰図

今回のトラブルについて九州電力側では「今回の運転停止に伴う供給支障は発生しておりません」と発表している。一方一部報道で明らかになった九電の記者会見の内容によると、過去の事例から類推するに1-4か月の復旧時間が必要と推定され、夏期の電力ピーク時内での復旧は難しいことも明らかにされている。

7月15日時点で九電側から発表されている【直近の電力需給予想】によれば、玄海原子力2・3号機、川内原子力1号機の運転の運転が再開できない状況における、「今年の夏の」3日平均による最大需要予想は1669万kW、昨年同様の猛暑になった場合は1698万kWの需要が予想される。

↑ 直近(苅田発電所新第1号機の事故発生前)の九州電力の需給予想
↑ 直近(苅田発電所新第1号機のトラブル発生前)の九州電力の需給予想

ここから供給力で36万kWが引かれるため、新たな供給力は1700万kWとなり、それぞれの需要想定に対する予備力は31万kW・2万kW。予備率は1.9%・ほぼゼロという計算になる。電力需給の記事で何度となく触れているが、「安定供給のためには8-10%の供給予備率が必要」であり、非常にリスキーな状況になるのは一目瞭然といえる。

九州電力管轄は「電力使用制限令」の該当地域ではないものの、それに近い形での節電要請(法的拘束力は無い)が行われていることもあり、電力の需要状態は例年と比べて減っている。そのため「現状」では計算上の「予想最大需要」時における予備供給力ゼロ-1.9%という事態は想定しにくい。しかし今後の天候の動向は予想が付きにくい事、上記九電の図の「故障想定」にもあるように、今後他の通常運転中の発電所に何らかの支障が生じる可能性はゼロではなく、予断を許さない状況にあることはいうまでも無い。

発電所とて機械に他ならず、機械である以上故障のリスクは常に伴う。トラブルを起こさず永遠に稼働し続けるのは、チープなシステム上で構築された世界観における「ゲームの中だけの話」、あるいは三文小説の世界の中でしかないことを、改めて認識しておかねばならない。


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