東北・東京電力管轄の電力使用制限令、前倒しで終了

2011/08/31 05:41

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節電経済産業省は2011年8月30日、先に【大口需要家への電力制限の緩和や除外対象など、詳細発表】で報じたように、電気事業法第27条に基づき東京電力・東北電力の両電力会社管轄内の大口需要家(契約電力500kW以上)を対象に対して同年7月1日から行っていた瞬間最大使用電力の制限(「電力使用制限令」)の終了月日について、当初予定から繰り上げることを発表した。東日本大震災及び新潟・福島豪雨の被災地に対しては同年9月2日が、それ以外の東北・東京電力管轄内では9月9日が、今件通達における使用制限の最終日となる(【発表リリース】)。


電気事業法第27条とは

経済産業大臣は、電気の需給の調整を行わなければ電気の供給の不足が国民経済及び国民生活に悪影響を及ぼし、公共の利益を阻害するおそれがあると認められるときは、その事態を克服するため必要な限度において、政令で定めるところにより、使用電力量の限度、使用最大電力の限度、用途若しくは使用を停止すべき日時を定めて、一般電気事業者、特定電気事業者若しくは特定規模電気事業者の供給する電気の使用を制限し、又は受電電力の容量の限度を定めて、一般電気事業者からの受電を制限することができる。

と定められているもので、今回の電力制限の法的根拠はこの法令によるところとなる(同法119条の定めによれば、これに反したものには100万円以下の罰金が科せられる)。

リリースによれば今回の前倒し措置は「今般、電力需給に関する検討会合が開催され、東北電力管内・東京電力管内の需給バランスが改善していることや、被災地の方々からの早期終了を求める声があることを踏まえ」たもの。実際、例えば東京電力管轄では【東電、8月27日以降の電力需給予想を変更・直近週の予想最大需要は4030万kW】にもあるように、「現状では」それなりに余力が生じるようになっている。

↑ 8月の東京電力管轄における各週の需給見通し(単位は万kW)(8月26日発表分)
↑ 8月の東京電力管轄における各週の需給見通し(単位は万kW)(8月26日発表分)

元々東北電力管轄では9月9日まで、東京電力管轄では9月22日までの使用制限だったが、今回決定・発表された前倒しの概要は次の通りとなる。

・東日本大震災、新潟・福島豪雨の被災地
 →東京・東北電力管轄共に9月2日で使用制限終了(9月5日からは適用除外)
 (適用対象地域はリリース参照のこと)

・上記適用以外の東京・東北電力管轄
 →東京・東北電力管轄共に9月9日で使用制限終了(9月12日からは適用除外)

※東北電力管轄は元々9月9日だったので、場所によってはこれまで通りの終了期間
※電力使用制限令は元々土日は適用されない

同時に経済産業省では昨年の事例にもあるように、9月中旬-下旬に残暑が戻り、電力需要が高まる可能性があることから、「電力使用制限令による法的拘束力は無い」ものの、基本15%の需要抑制は努力目標として残すよう求めている。

また、現行政権政党のエネルギー政策などの影響もあり、中期的な電力供給の回復が不透明なままなことは否めない。今後電力供給がさらに漸減しうることもあわせて考えると、今冬、さらには来年以降も同様の電力需給の厳しさを迎える可能性もある。比較的需給の安定する秋口のうちに、個別ベースで「賢い節電」対策を推し進めることをお勧めしたい。

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