山手線内に無線LANでスマートフォン向け情報配信・「山手線トレインネット」10月に試験運用

2011/09/07 05:41

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「山手線トレインネット」【JR東日本(9020)】は2011年9月6日、山手線の1編成内にWi-Fi(無線LAN)のアクセスポイントを設置し、スマートフォン利用者に向けて情報配信サービスを行う「山手線トレインネット」を、同年10月4日から11月2日の間、実証実験として実施すると発表した。同社のフロンティアサービス研究所で設計・試作した、「車両内でのパーソナルな情報提供システム”infoPiC”」を利用する(【発表リリース】)。今件サービスの利用料金は無料。


↑ 「山手線トレインネット」利用イメージ
↑ 「山手線トレインネット」利用イメージ

↑ 提供情報例(抜粋)
↑ 提供情報例(抜粋)

JR東日本では以前【「トレインチャンネル」の秘密をちょっとだけのぞいてみる】などで紹介した液晶テレビやLED(発光ダイオード)を通じ、列車内の乗客に各種情報を提供している。今回試験運用されるサービスでは、各利用客の所有するスマートフォンに「現在位置に応じた」リアルタイムな情報を提供していくことになる。これにより、ニーズに合わせた詳細情報を提供できるだけでなく、「列車を降りた後」の行動に対しても有益かつ適切なサポートを行える。例えば東京駅手前を走行している際には、東京駅周辺の店舗情報を提供。東京駅で降りた人に「役立つ情報」を提供していく。

配信される情報は次の通り。

●鉄道関連情報
・運行状況: 首都圏各路線の遅延や運転見合せ情報
・駅・乗換案内: 停車駅一覧と各駅までの所要時間、各駅のホーム設備や乗換路線の案内
・車内状況: 各号車の乗車率・車内温度

●マーケティング関連情報
・沿線ニュース
・コミックや小説、動画
・エキナカ店舗のキャンペーン情報やクーポン
・トレインチャンネルと連動した動画広告

↑ 列車の現在位置にマッチした情報が提示される
↑ 列車の現在位置にマッチした情報が提示される

同サービスを利用したい場合は、該当車両に乗り、スマートフォンのWi-Fi設定をオンにする。その上で接続するアクセスポイントに「Trainnet」を選択(パスワードは不要)。そしてブラウザを立ちあげて更新ボタンを押すと、多種多様な情報が得られる。

サービス開始は10月4日からだが、それに先駆けて公式サイトを9月20日にオープン(【http://www.yamanoteline-trainnet.jp】)。一部報道によればこのサイトから、今件システムを搭載した編成車両の現在位置などを案内するとのこと。

リリースには「スマートフォンの利用状況は年々増加しており、同時に高速で大容量の情報通信環境も整備されつつあります」とあり、スマートフォンの普及率上昇に伴い新たなサービスの提供可能性を模索する、JR東日本側の姿勢が見て取れる。一か月ほどの実証実験を経て同社側ではサービス内容の評価・検証を行った上で、「今後の実用化を目指す」としている。

液晶パネルを使った「トレインチャンネル」と異なり視聴ハードルは上がる(スマートフォンを所有していて、乗車時点で他の事に使われていない)ものの、今回のサービスはよりきめ細かで役立つ情報を、個々の利用者毎に提供できるのがポイント。例えばクーポンの提供なら、利用客が列車から降りた後にも有益な情報となり、それは同時に広告価値を飛躍的に高めることをも意味する。システム的に同時間帯に接続できる人数に上限があるなどの課題も想定されるが、提供情報の精査も合わせ、今後の展開に期待したいところだ。


※ネットワークでTrainnetを選択した場合、専用アプリによる「山手線トレインネット」サービスの提供以外のインターネットへのアクセス(例えば一般のブラウザを開いて他のウェブサイトの閲覧)は出来ないとのことです。

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