新日鉄など、津波による「泥土」を「硬い土」に再生する改質実証実験を実施

2011/09/17 06:52

改質実証実験新日本製鐵と新日鉄エンジニアリングは2011年9月16日、東日本大地震で大量に発生した津波堆積物(泥土)を改質し、良質な硬い土に再生するプロセスの実証実験を、同年9月12日から22日の期間、仙台市宮城野区で実施していると発表した。製鉄過程で発生する副産物を原材料とした「カルシア改質材」を用いたもので、ガレキを取り除きながら、復興資材として十分な強度を持つ良質な土を、高効率・安価に再生できるのが特徴(【発表リリース】)。

↑ 泥土と混合プラント・改質土
↑ 泥土と混合プラント・改質土

↑ プロセス概要(リリースより)
↑ プロセス概要(リリースより)

津波などで発生した泥土には、津波堆積汚泥の他、コンクリートのかたまりなどが含まれ、そのままでは柔らかすぎるなどの理由で再利用はかなわない。そこで製鉄工程で発生する副産物「鋼鉄スラグ」を原材料とした「カルシア改質材」などを加え、回転式破砕混合工法(ツイスター工法)を用い、ガレキを取り除きながらかき混ぜ、復興資材として十分な強度を持つ改質土として使えるようにする。

この「カルシア改質材」とは【新日本製鉄の解説ページ】にあるが、鉄鋼スラグを原料として成分管理と粒度調整を施したもの。泥土と混合させ、水硬性強度付加などの土砂性状の改良・改質や、富栄養物質の発生抑制が可能となる。

↑ 泥土改質材(カルシア系改質材)
↑ 泥土改質材(カルシア系改質材)

仕組みとしては泥土のシリカ分とカルシア系改質材からのカルシウム分が水和固化して、カルシウムシリケート系水和物(C-S-H)やカルシウムアルミネート系水和物(AFm)が形成されて固化するというもの。容積比で3割のカルシア系改質材を泥土に添加・混合し、4日後に土質材料として利用する実験工事では、コーン指数※qc=400kN/m2以上の強度発現が確認されている。

※コーン指数:地盤の強さを示す値。大きいほど硬い。例えば泥土は200未満、第3種建設発生土では400以上が国土交通省「発生土利用基準」で定められている。300あれば湿地用ブルドーザーが行き来できる

今プロセスで生成された「カルシア改質土」は、

・産業物処分場で産廃物の上・表層材の下にかぶせることで、表層材の陥没を防止
・防波堤や防災広場などの盛り土(、「土のう」の詰め物)として使用
・海面廃棄物処理場の覆土として使用
・その他地盤の造成に使用
↑ 利用事例
↑ 利用事例

などの活用が想定されている。

今回発表されたリリースと、元々津波泥土を元に「カルシア改質土」を創るプロセスを説明する解説ページとでは、混合かくはん・回転式破砕混合工法(ツイスター工法)の利用の有無の違いが確認できる。従来はある程度混合廃棄物をガレキと泥土に分別した上で土質改良機にかけて「カルシア改質土」を生成する工程だが、今回はガレキが混じった津波蓄積物が大量に存在し、わざわざ分別をしていたのでは時間がかかりすぎるため、回転式破砕混合工法を用いているようだ(「高速回転によるほぐし効果とカルシア改質材の水分調整効果により、津波堆積物に含まれるガレキの高速分別が可能」と説明にある)。

実証実験の終了は9月22日。その後各種検証の上で、その結果発表が行われるはず。そして有益性が確認でき、採用する自治体・企業などがあれば大規模な展開が行われるはず。まずは検証結果の発表を待ち望みたい。

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