PCゲームの開発・移植のサイバーフロント、親会社の加賀電子が「経営立て直しは困難」と解散決議

2013/12/20 12:15

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加賀電子は2013年12月19日、同社の完全子会社である、パソコンゲームソフトなどの開発・販売を行うサイバーフロントについて、解散を行うと発表した。理由については悪化していた経営体制の立て直しが困難であると判断したためと説明している。資本金は1億円。現在代表者は「清算人 榎本聡」と記載されており、すでに清算作業中であることが確認できる(【発表リリース:子会社の解散に関するお知らせ】【サイバーフロント公式サイト】)。


↑ 現時点でのサイバーフロント・公式サイト
↑ 現時点でのサイバーフロント・公式サイト

↑ サイバーフロントの直近3期財政状態・経営成績(単位・百万円)
↑ サイバーフロントの直近3期財政状態・経営成績(単位・百万円)

サイバーフロントは1998年11月に設立された、ゲームソフトウェアやアプリケーションの企画・開発・制作・販売、インターネットサービスの企画・開発・配信を行うソフトウェア開発会社。2010年4月に加賀電子が51%の株式を取得して子会社化し、伸長に向けて支援を実施。しかしながら同社の経営状況は改善を見せず、2013年3月には加賀電子が全株式を取得してサイバーフロントを完全子会社化した上で、経営陣の刷新を行い、事業の立て直しを進めてきた。

しかしながら前経営者(リリースでは「前経営陣」とは書かれていない)が構築した経営体制の立て直しは困難であると加賀電子側は判断。そこで今回の解散決議に至ったと説明している。

同社はこれまでパソコンゲーム機向け、各種家庭用ゲーム機向け、そしてスマートフォンなどの携帯電話向けアプリなど多機種用のゲームソフトを展開している。特にパソコン向けでは海外の有力タイトル(シミュレーションゲーム系やガンシューティング系)の輸入、さらには日本語化した上での発売に秀でており、同ジャンル愛好者からは心の支え的存在でもあった。またかつての恋愛ゲームメーカーKID(キッド)のブランドを継承したことでも知られている。

↑ アーカイブに残っていた直近(2013年11月3日時点)のサイバーフロントの公式サイト
↑ アーカイブに残っていた直近(2013年11月3日時点)のサイバーフロントの公式サイト

今後の動向については、現時点で同社サイトを見る限り、2014年1月23日発売の「東京新世録 オペレーションアビス」(PS Vita用)は予定通り発売されるようだが(公式サイトには現時点でも情報が掲載されている)、それ以降の予定は当然無く、今ソフトが同社最後のタイトルとなりそうだ。また既存タイトルについても公式サイトからはメニューが消えており、現状をうかがい知ることができる。さらに同社が運営していたYouTube公式チャンネル・ニコニコ公式チャンネルからも、収録されていた動画のすべてが削除されているのが確認できる。

経営状態の悪化による解散決議ならば「是非も無し」としか言及しようがないものの、もの悲しさを覚えるのは当方だけではあるまい。


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