MRJの初飛行、2013年後半に延期

2012/04/26 06:35

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MRJ【三菱重工業(7011)】と三菱飛行機は2011年4月25日、国産初のジェット旅客機「MRJ(ミツビシ リージョナル ジェット、Mitsubishi Regional Jet))」について、試験機の初飛行時期などのスケジュールを見直し、変更を行う事を発表した。試験機初飛行は従来の2012年第2四半期予定から2013年度第3四半期に延期される。また量産初号機納入は2015年度半ば-後半となる。三菱側では今回の変更について、製造工程の見直しや技術検討への傾注時間超過などを理由に挙げている(【発表リリース】)。



↑ MRJのデモ映像。
↑ MRJのデモ映像。【直接リンクはこちら】

MRJとは三菱重工業と国が共同で開発が進められた国産ジェット機で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として2003年から研究開発を進めていたもの。高い経済性と快適性を兼ね備えた最新鋭の旅客機を目指して開発され、78人-92人乗りの小型ジェット機となる予定。全長は35.8 メートル、翼長29.7メートル、全高10.4メートル。地域便向けの機体(リージョナル機)で、複合材の使用による軽量化を図り新型エンジンを搭載することで燃費の大幅な低減を実現し、収益性の向上に貢献している。ほぼ1年前の4月5日には全体としての組み立てが開始されていた(【MRJの本格的組み立て開始・工場で鋲打ち式開催】)。

今回発表されたのは、試験機初飛行と量産初号機納入時期の変更。それぞれ概要は次の通り。

●試験機初飛行…2013年度第3四半期に(従来は2012年第2四半期予定)
理由1…製造工程の見直し及び確認作業に多大な時間を要している
理由2…開発段階での各種技術検討に多大な時間を要している
(詳細な飛行時期は、後日、ロールアウト式典などのイベントなどにあわせ発表)

●量産初号機納入…2015年度半ば-後半(従来は2014年第1四半期予定)

なお量産初号機納入時期については「今後の開発においてスケジュール短縮の施策を強力に推進し、量産初号機納入の前倒しに注力」するとコメントしている。また、量産段階での更なる生産規模の拡大の検討も併せて行うと説明している。

今回の発表に合わせ、アメリカのPratt and Whitney社で設計・開発が進められている搭載エンジンの開発進捗に関し、今月末から試験用航空機にテストエンジン(PW1217G)を搭載して飛行試験を開始する予定であると説明されている。

MRJの開発スケジュール変更は2009年9月の仕様設計変更に伴うものに続き、今回で2回目となる(1回目:【MRJ最新状況説明会(2009年9月9日)】)。MRJが属する小型ジェット機の市場は、航空産業の中でも数少ない、今後成長が見込める分野。当然、ライバル社の動きも活発化している。「今後の開発においてスケジュール短縮の施策を強力に推進し」と、わざわざ「強力」という普段使わない言い回しを用いるのも、このような市場環境によるところが小さくない。

後日発表される詳細な試験機の飛行時期も合わせ、今後の動向を注意深く見守りたいところだ。

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