「ソフト購入をうながすメッセージ」、それ本当? 国民生活センターが注意喚起

2012/08/20 06:35

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シニアとパソコン国民生活センターは2012年8月17日、パソコン操作中にエラー表示が現れ、エラー解消のためにソフトの購入・ダウンロードを迫る類のトラブルの報告が相次いでいることを発表した。同センターでは具体事例を挙げると共に、「安易にパソコンソフトをダウンロードしないよう」呼びかけている(【発表リリース】)。


↑ )パソコンソフトのインターネット通販に関する相談件数(今件のような偽セキュリティソフトの事例に限らず、通販全般)
↑ パソコンソフトのインターネット通販に関する相談件数(今件のような偽セキュリティソフトの事例に限らず、通販全般)

今件リリースでは相談事例として5つほど挙げられているが、そのうち2つを挙げておく。

■1:
パソコンを立ち上げる度に、「画面に阻害要因がありそれを除去するソフトを買うように」と画面表示され、面倒臭くなって購入した。クレジットカードで決済してインストールしようとしたができなかった。すぐに解約しようとしたが、日本語対応の電話番号記載がない。インターネット上の書き込みを見ると悪質サイトだとも記載されている。

クレジットカード会社に苦情を伝えたら、クレジットカードを破棄処分するように言われ手続きした。今後は引き落としされないが、払った2700円はどうにかならないか。日本での相談窓口の案内がないこの業者は悪質ではないか。

■2:
数カ月前からパソコンを使う度に「バックアップの必要なファイルがある。あなたのパソコンは危険な状態です」という表示が画面いっぱいに出るようになった。表示を削除したが何度も出るので、つい「今すぐスキャンしてください」というボタンを選択した。サイトの表記は英文に変わったが、「推奨」と書いてあったボタンを押して手続きを進めていった。ソフトをクレジットカード払いで購入したように思う。同じ画面が出たので、もう一度同じ操作をしてしまった。約1万円の金額の入った注文受領メールも来たが、英文なのでよくわからない。ソフトはまだダウンロードしていない。

今件はいわゆる「偽セキュリティソフト」「偽エラー対策パッチ(ソフト)」の類のもの。OS(オペレーションシステム。Windows 7やVista、Windows XPなど)やアプリケーションソフト(Adobe AcrobatやFlashなど)が最新の状態にアップグレードされていない場合、そのパソコンのセキュリティ(安全度)が脆弱になり、ウェブサイトにアクセスしたり妙なファイルをダウンロードしたことで、その脆弱性を狙ってこのような表示をさせるプログラムを埋め込まれてしまったことによる場合が多い。また、パソコン内に組み込まれているソフト「以外」のエラー表示が出て、新たにソフトを購入させる画面になることもある。

これらの事例のように、表示されている内容を理解できない、信頼できるものか判断できない場合は、画面の指示に従わない・クリックしないのが基本。

当センター側では上記の対応も含め、アドバイスとして7つの項目を挙げている。

1.何かの表示が出ても、信頼できる表示かどうかわからない場合には、クリックしない
2.パソコンの危険な状態を回避するために、【独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の情報セキュリティ安心相談窓口のホームページ】で情報収集する
3.表示が出る以前から、パソコンに不具合があるのであれば、パソコンメーカーなどのサポート窓口に相談する
4.ソフトは、日本語でスムーズに問い合わせできる窓口の有無も1つの基準として、信頼できるメーカーのものを購入する
5.ソフトを購入する際は、事前に料金や有効期間(契約更新の有無)を確認する
6.身に覚えのないクレジットカードの請求があった場合には、クレジットカード会社に早急に申し出る
7.トラブルにあったら消費生活センターに相談する

今件事例を読み直すと、被害者の多くがシニア層のパソコン初心者。好奇心旺盛で多種多様なサイトにアクセスする一方、表示されるメッセージを鵜呑みにしてしまい(デジタル上の文章はすべて正しいと思い込んでしまう)、「罠」にかかっている事例が少なくない。また、自分が騙されているとなかなか気が付かない、同じ手に何度も引っかかってしまうという、典型的な詐欺被害者のパターンを踏襲している。

今後操作が簡単で価格も安めなスマートフォン・タブレット機がシニア層にも普及しはじめるにつれ、この類の問題は確実に増加する。センター側のアドバイスには「IPAのサイトで情報収集する」ともあるが、家電に近いツールとして認識していることが多く、なかなかそこまではできない・しないのが実情(自前のテレビや冷蔵庫、電子レンジについて、定期的にメーカーサイトで情報をチェックする人があまりいないのと同じ)。

該当しそうな人は上記アドバイスのうち「1.」「4.」「5.」などを特に留意し、同時に可能な限り身近に居る「経験豊富な人」のアドバイスを受けるようにしてほしい。同時に知識・経験のある人は、周囲に該当しそうな人がいれば、折を見て環境の確認をしたり、相談を受けて欲しいものだ。

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