岩波書店、六法全書を昨年秋刊行版で終了

2013/07/23 06:55

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岩波 基本六法岩波書店は2013年7月、同社が刊行してきた六法全書、直近では『セレクト六法』『基本六法』『判例基本六法』の3種類について、昨年秋の平成25年版(2013年版)をもって刊行を終了したことを発表した。インターネットの普及などによる環境の変化で、需要が低迷していることなどを理由として掲げている(【発表リリース:六法の刊行終了にあたって】)。



↑ 岩波 基本六法 平成25(2013)年版

岩波書店が六法全書を刊行したのは戦前の1930年。当時は高価で大型が基本スタイルだった六法全書を、小型で安価、さらには参照条文・事項索引付という様式で提供し、大いに人気を博することとなった。2008年にはそれまで『コンパクト六法』『判例基本六法』として展開されていたものを、『セレクト六法』『基本六法』『判例基本六法(後に判例セレクト六法に)』に再編成し、社会や需要の変化にも対応してきた。

リリースによれば今回の発刊終了の理由として、一般市民の方への意識向上が課題となり需要も増す一方、インターネットの普及で条文や判例を自ら調べる人が増え、六法全書を使う人が相対的に減ったこと、さらに大学教育などの場で書籍としての六法全書の需要が低下したことなどを挙げている。

同社では今後、法律学の講座やシリーズ、単行書籍などの刊行に注力をすることで、多様な方面・具体的な解説などの視点から、市民と法を結ぶ法律書の展開と充実を図りたいと説明している。

電子書籍の浸透だけでなく、判例や原文そのものがインターネットで検索できる昨今では、紙媒体としての六法全書の需要が減るのは、致し方ない話。また、法令の相次ぐ変更で、場合によっては毎年買い替える必要性があることを考えると、書き換えが容易なデジタルに需要が集まるのは自然な流れといえる。とはいえ、六法全書の発行元大手がその刊行の歩みを止めるという事実は、やはり哀しさを持たずに受け止めることは出来まい。

なお六法全書は岩波書店以外に、有斐閣、三省堂なども発売しているが、各社では刊行周りで特に発表は行われていない。

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