【更新】救難飛行艇US-2 量産型初号機、防衛省に納入
2009/02/22 09:34



2008年国際航空宇宙展におけるデモフライトを撮影したもの。2回目のフライパスの際には、低速度で通り過ぎていくのが分かる。動画のコメントによれば着水時の衝撃を緩和 するため、時速100キロ程度まで速度を落とせるとのこと。
「US-2型救難飛行艇」は、同じく新明和工業が開発・生産していた「US-1A型救難飛行艇」の後継機として開発されたもの。今回納入された量産初号機は、2005年度に防衛省(当時)と契約を交わした後、2年にわたって実施された試作機の技術・実用試験の結果をうけ、一部設計を変更して製造された機体。2007年か4月から本格的な製造に着手し、2008年12月には初飛行試験が行われている。
なお試験段階では機体は白地に赤、あるいは青の塗装だったが、量産初号機は紺色がベースになっている(いわゆる「洋上迷彩」)。

量産型初号機の勇姿
US-2型救難飛行艇の特徴としては、コンピュータ制御によるフライ・バイ・ワイヤ操縦システム(パイロットの入力が電気信号で各部に伝達される仕組み)を採用しているほか、与圧キャビンの導入、エンジン換装によるパワーアップ、統合型計器板(グラス・コクピット)の採用、主翼・波消板・浮舟などの軽量化などが図られている。全長は33.3メートル、全幅33.2メートル、全高9.8メートル、最大速度時速580キロメートル、巡航高度6100メートル以上、航続距離は4700キロメートル。
[US-2の解説ページ]にもあるように、元々新明和はその前身である川西飛行機が、太平洋戦争中に二式飛行艇(二式大艇)を開発。飛行艇としては世界最強のスペックを誇り、偵察や哨戒、さらには輸送活動にも従事した。その後戦後に至り、PS-1やUS-1シリーズなどの飛行艇を手がけ、今回納入されたUS-2にたどりつくことになる。
「わざわざ海に着水しなくても飛行場を使えばいいのでは?」という意見もあるが、飛行艇の「水陸両性」は飛行場の無い、あるいは利用できなくなった離島や被災地へのアクセスを可能とするほか、災害時に柔軟性の高い機動力を誇る輸送・偵察能力を持つ「ふところ刀」として欠かせない存在。
なお量産2号機は2009年度には納入される予定とのこと。老朽化で引退が行われつつあるUS-1Aの後継として、先輩の機体以上に活躍することだろう。

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