小麦の政府売り渡し価格、4月からは14.8%引き下げ

2009/02/25 07:30

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小麦イメージ農林水産省は2009年2月24日、政府が民間企業などに売り渡す輸入小麦の価格を、同年4月から9月の間は5銘柄平均で-14.8%(-10.6%--20.6%の幅)の割合で引き下げることを発表した。この引下げで平均した1トン当たりの小麦の価格は7万6030円から6万4750円に引き下げられる計算。年2回の価格変更を行う現行の制度に移行した2007年度以降では、値下げは今回が初めてとなる(【発表リリース】)。


【パンやうどんなどの値上げも?-輸入小麦の政府卸売価格、10月から10%引き上げ】などで詳しく解説しているように、輸入麦の大部分は食品の安定的な国内供給を確保するため、政府が商社を経由して輸入し、その上で(国内の小麦農家への補助金にあてる費用を一定額上乗せしてから)企業に売り渡すという、農協におけるお米の売買と似たような仕組みを採用している。【輸入麦の価格ルール変更でパンやうどん、焼酎などの値段に影響か】にもあるように、これまで年間固定制だった売り渡し価格は2007年から年3回(当面は年2回)の変動が行なわれる。ただし年3回への切り替えは製粉業界などから「需要者側との価格交渉が複雑化する」などの理由で反対意見が強く、今回も現行のまま年2回で更新が行われることになった。

シカゴ取引所における2006年11月以降の小麦価格の変移(フジフューチャーズから)。商品・資源バブルを経て、価格はほぼ元の状態に戻りつつあることが分かる。
シカゴ取引所における2006年11月以降の小麦価格の変移(【フジフューチャーズ】から)。商品・資源バブルを経て、価格はほぼ元の状態に戻りつつあることが分かる。
・アメリカ産(ダーク)ノーザン・スプリング(主にパン・中華麺用)……6万7010円(▲13.5%)
・カナダ産ウェスタン・レッド・スプリング(主にパン用)……7万1890円(▲10.6%)
・アメリカ産ハード・レッド・ウインター(主にパン・中華麺用)……5万9260円(▲20.6%)
・オーストラリア産スタンダード・ホワイト(主に日本めん用)……6万4140円(▲16.2%)
・アメリカ産ウェスタン・ホワイト(主に菓子用)……5万7880円(▲13.9%)

・5銘柄加重平均価格……6万4750円(▲14.8%)
※価格はトン当たり、カッコ内は前期比

小麦の卸売り価格は、2007年4月の1.3%を皮切りに、10月の10%、2008年4月の30%、10月の10%という形で4期連続引き上げが続いていた。しかし上記のグラフにもあるように、小麦価格は昨年前半にピークを迎えた直近の商品・資源バブルを経て大幅に下落。現在ではバブル前の価格水準にほぼ等しい値にまで下落している。これを受けて、主要5銘柄の価格は上記のように変更された。

ただし、「政府の小麦卸売価格引き下げ」がそのまますぐに小麦そのもの・小麦製品の価格引き下げにつながるわけではない。これまでの在庫分の調整が済んでいない、直近で値上げをしなかったのは今回の値下げを考慮に入れていたから、小麦は値下げしても他の材料が値上げしているとして、価格を据え置くメーカーも多い。

今後、関連商品の価格がどのように変化していくのか、注目したいところだ。

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