【更新】大日本印刷、主婦の友社株式39%を取得し傘下へ

2009/05/09 09:52

出版イメージ印刷業界では最大手の【大日本印刷(7912)】は2009年5月8日、業務・資本提携という形で女性誌の出版社としては老舗に当たる主婦の友社の株式を新たに取得し、すでに保有している4%と合わせて約39%を取得、傘下に納めると発表した。取得金額は非公開。大日本印刷側では取締役1名・監査役(非常勤)1名を主婦の友社へ派遣する予定としている([発表リリース])。

主婦の友社は【未上場で有名な企業の業績をグラフ化してみる……(2)秋田書店やダイヤモンド社、文芸春秋など】にもあるように、冠雑誌である「主婦の友」こそ2008年に休刊したものの、教養、料理、育児など女性向けの雑誌・書籍を発刊している。同社では「出版物の製造コスト、物流コストの見直しを行うとともに、出版物をベースとしたコンテンツビジネスへと進出を図ってき」たが、「経営基盤の強化と財務体質の改善が急務となり、コンテンツの活用を基本とした新しいビジネスに取り組むにあたってパートナーを求めて」いた(リリースより)。言い換えれば(本当の意味での)「リストラクチャリング」に際して経営資源構造・財務構造の両面から、大手の助けが必要だったということになる。

主婦の友社主要財務指標(単位:億円/売上高のみ10億円)(再録)
主婦の友社主要財務指標(単位:億円/売上高のみ10億円)(再録)

一方、大日本印刷は【大日本印刷がジュンク堂を連結子会社に・書店部門の強化が目的】などにもあるように、書店大手や流通会社を次々に買収し、出版事業において「上流から下流まで」すべてを抑えるべくさまざまな手を打ち出している。

今回大日本印刷が主婦の友社を傘下に納めるのと共に、両社は業務提携の中で、

・書店や図書館で得た生活者のニーズを基に、顧客視点での付加価値の高いコンテンツ制作と、販売チャネル及びメディアの選択機能の強化
・書籍と電子出版の組み合わせなど、複数メディアの効率的な制作体制の構築
・財務体質の強化に向け、初版・重版の製造部数の最適化による返本率改善、在庫管理などの徹底的な合理化

に取り組んでいくとしている。つまり現在出版業界が抱えている共通の問題「複数メディアにおけるコンテンツ(具体的な内容)展開と、それを消費者が手に取りやすいようにするための仕組みの創生」「ケータイやネットなどデジタルメディア上での効率的な配信展開」「市場調査と生産管理の徹底化による、無駄のない書籍・雑誌の印刷」の改善・構築を目指すことになる。

当サイトでも何度となく解説しているように、雑誌や書籍などの紙媒体における出版は、デジタルメディアの登場・普及で、これまでのビジネスモデルを根本的に改める必要に迫られている。今回の業務・資本提携(事実上の傘下に納める)は、これまでの流通部門(下流)への参画ではなく、コンテンツ制作・保有という言わば「上流」への参画という点でも注目に値する。今後も大日本印刷が進めているような業界再編事業を経て、出版業界そのものの構造も少しずつ変わっていくのだろう。

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