【更新】講談社・集英社・小学館・大日本印刷がブックオフ株式取得

2009/05/14 06:40

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書籍イメージ講談社、集英社、小学館、【大日本印刷(7912)】、図書館流通センター、丸善は2009年5月13日、中古書籍販売最大手の【ブックオフコーポレーション(3313)】の株式の28.9%を取得することを正式に発表した。日本政策投資銀行系のファンドから買い取る形になるが、取得金額は明らかにされていない([発表リリース])。


ブックオフは全国に1000店舗近い店舗を展開する中古書籍販売では最大手の企業。紙媒体が不調な中で、特に収益率の高い新刊書籍の売上向上のさまたげになりうる存在だった。しかしブックオフ自身も2年前に不正経理問題が発覚し、それ以降は(紙媒体そのもののニーズ低迷もあわせて)業績が低迷。日本政策投資銀行系のファンドなどが創業者から株式を買い取り筆頭株主となり、経営の立て直しを進めてきた。今回の株式譲渡で、それらファンドの持株はすべて出版社などに移行することになる。

今回株式を引き受ける6社(図書館流通センターと丸善は大日本印刷グループなので、3社・1グループ)のそれぞれの取得割合は次の通り。

講談社……4.29%
集英社……4.29%
小学館……4.29%
大日本印刷……6.60%
図書館流通センター……3.86%
丸善……5.57%

今後大株主になった各社は、ブックオフの中古書籍の販売を継続させる方針ではあるが、

・二次流通も含めた出版業界全体の協力、共存関係を構築し、業界の持続的な成長を実現させる(全体)
・著者、著作権者の創作的基盤を尊重し、関係各位の立場を配慮しつつ、より効果的かつ有機的な市場の構築を図っていきたい(出版社)
・生活者の視点に立った書籍販売市場の活性化を目指したい(大日本印刷グループ)

などとコメント。さらに一部報道では「新刊の書籍や書店から返品されて在庫となった本の販売なども検討する」と伝えられており、書籍の流通がダイナミックに変わる可能性を示唆している。

出版業界と印刷業界はメディアに対するニーズの変化による広告・販売冊数の大きな減少を受け、大きな構造変化を求められている。中でも【大日本印刷、主婦の友社株式39%を取得し傘下へ】【大日本印刷がジュンク堂を連結子会社に・書店部門の強化が目的】にもあるように、大日本印刷は次々と関連企業の買収や提携を打ち出し、出版事業全体における「上流から下流まで」のすべてを抑える姿勢を見せている。今回のブックオフ株式の取得は、「下流」のうち大きな一系統を影響下に納めたことを意味する(大日本印刷単体では6.60%だが、グループとしては16.03%。追加取得をするなりどこか1出版社と手を結べば2割を超える)。

今後各社が、今まで半ばライバル視していたブックオフをも巻き込んで、出版事業全体をどのように再構築していくのか。特に大日本印刷の動きを中心に、注目したいところだ。

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