【更新】「精製はちみつ」でもはちみつ濃度はゼロ・大手「ボーソーハチミツ」に改善命令

2009/05/21 06:25

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はちみつイメージ農林水産省は2009年5月20日、大手のハチミツメーカー「ボーソーハチミツ」と同子会社ビー・シーに対し、同社が少なくとも2007年12月から2009年3月までの間、両社が販売したハチミツ計1523トンほどについて、濃度の偽装あるいはハチミツそのものが配合されていない商品をハチミツと称して販売していたことにつき、日本農林規格(JAS)法に基づき表示などの改善命令を出した(【発表リリース】)。


該当する商品(一部)
該当する商品(一部)

今回発覚した偽装内容は次の通り。

・「加糖はちみつ」……「はちみつ(中国産)60%」と記載。しかし実際には25%程度しか使用せず。
・「はちみつシロップ」……「蜂蜜20%入り」と記載。しかし実際には7.5%-15%程度しか使用せず。
・「精製はちみつ」……はちみつを使用せず。ぶどう糖と果糖を水に溶かして使用。
・「純粋はちみつ」……純粋と表示したが、異性化液糖などを最大50%使用。
・「アカシア精製はちみつ」……ぶどう糖や果糖を水に溶かしたものを85%-90%使用。
・「製菓用蜜LA」……果糖やぶどう糖、水あめを使用しているにも関わらず果糖ぶどう糖液糖と伝える。
・「ティーハニー」……原材料のハチミツを規定よりも少ない配合で製造。実際の配合割合を伝達せず。

農水省側では、以前ボーソーハチミツが2006年10月6日に同様の偽装を行っていたことを確認したため、JAS法に基づいて「指示」をしていたが、偽装は継続していたため、正当な理由がないのに「指示」に従わなかったと判断、今回の「改善命令」措置となった。【指示命令書(PDF)】には「表示の適正化」「原因の究明と分析」「責任所在の明確化と社内管理体制の整備」などがうたわれているが、両社は2006年の指示の際にこれらの指摘を受けておきながら、それらを事実上無視した形となる。過去の指示命令([リリース、現在ではリンク先のデータは消失])によれば2004年4月から2006年7月までの間の偽装が指摘されており、今回の改善命令内容とあわせると少なくとも約5年の間、偽装が繰り返されてきたことになる。

ボーソーハチミツ側では現在トップページで今件に対し、

この度、弊社が製造する商品「加糖はちみつ(ボーソーハチミツ)」・「加糖はちみつ(ビーシー)」及び「はちみつシロップ(東洋フーズ)」に関し、行政からの指摘を受け、調査・確認を行いましたところ、原材料表示の内容と実際の配合に相違があることが判明いたしましたので、当該商品を回収させて頂きます

と説明し、農林水産省から指摘を受けてはじめて問題が判明したような表記をしている。しかし20日の記者会見のようすを報じた[産経新聞の報道]では、「内部告白で発覚」「指示命令の後に行われた農水省の調査に対し虚偽の書類を提出」など、偽装内情を知った上での隠ぺいが見受けられる。

健康ブームでハチミツに注目が集まる中、【求む、ミツバチ減少の謎を解くカギ! 農水省が研究者募集】にもあるように原因不明のミツバチの減少を受けて、ハチミツの品不足がますます懸念される状況にある。十分な量を供給できないから、という意向もあるのかもしれないが、日常的・組織的に偽装が繰り返されたあたり、手口は非常に悪質。消費者の期待を大きく裏切ったのは間違いない。

ハチミツという商品の信頼性を根幹から揺るがしかねない話なだけに、一刻も早い是正としかるべき「対処」を強く求めたいところではある。

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