イネ「安価でカドミウム吸い取ります」な技術が開発

2009/09/04 07:29

実験用のイネ収穫イメージ独立行政法人農業環境技術研究所は2009年8月21日、同研究所や山形県農業総合研究センター、新潟県農業総合研究所、福岡県農業総合試験場、秋田県農林水産技術センター、三菱化学の研究により、カドミウム高吸収イネ品種を複数年栽培することで(人体に有害な)カドミウムを吸収させ、土壌中のカドミウム濃度を低コストで20-40%下げる「低コスト土壌浄化技術(カドミウム汚染水田の浄化技術、ファイトレメディエーション※)」を開発したと発表した。この技術を使った跡地にイネを栽培した場合、使わない場合に比べ、40-50%のカドミウム濃度低下が認められたとのこと(【発表リリース:カドミウム高吸収イネ品種によるカドミウム汚染水田の浄化技術 (ファイトレメディエーション) を開発―新たな低コスト土壌浄化対策技術として期待―】)。

現在食品経由のカドミウム摂取量を減らすために、米に含まれるカドミウム濃度の基準値を1.0mg/キロから0.4mg/キロに改正することが検討されている。一方で、土壌中のカドミウム濃度を減少させる土壌浄化技術はコストが高く、大面積での実施は困難。安価で広い面積にわたる技術の開発が望まれてた。

今研究ではカドミウムをよく吸収する複数のイネ品種(長香穀:ちょうこうこく、IR8、モーれつ)をインディカ米の中から発見し、その実証実験を実施。移植後約30日-50日の間は湛水条件で栽培し、その後は水を入れずに落水状態を継続する「早期落水栽培法」を用いることで、カドミウム吸収量がもっとも高まることが分かった。

落水期の違いによるカドミウム高吸収イネ品種 「モーれつ」 のカドミウム吸収量の経時変化(温暖地で栽培)
落水期の違いによるカドミウム高吸収イネ品種 「モーれつ」 のカドミウム吸収量の経時変化(温暖地で栽培)

カドミウム高吸収イネ品種の栽培前と栽培後の土壌カドミウム濃度
カドミウム高吸収イネ品種の栽培前と栽培後の土壌カドミウム濃度

さらにカドミウム高吸収イネの収穫については「もみ・わら分別収穫法」「現場乾燥法」を組み合わせることでコストダウンに成功。さらにもみを分別できるため、玄米部分をバイオエタノールなどの原料として有効活用することも可能だという。

研究所側では今回利用したイネの一部で改善の余地があるため、現在品種改良中を行っているとのこと。さらにイネのカドミウム吸収にかかわる遺伝子を特定する研究も進められており、将来的にはカドミウム吸収能力がより高いイネ品種などの創生も期待できるとのこと。

同様の研究では国立環境研究所が【ベラドンナを使い土壌中のPCB濃度を下げる】研究を行っている。土壌の汚染物質が植物に吸収されて悪影響をもたらす傾向を逆手にとり、植物に問題物質を吸収してもらい浄化を図るという考え方は、非常に興味深いものがある。さらなる研究が推し進められ、成果をもたらすことを期待したい。日本国内はもちろん、世界各地で大いに役立つ技術に違いないからだ。

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