病院などでの携帯電話の利用ルール、新しい指針が電波環境協議会から発表
2014/08/20 11:15


↑ 今件新指針に基づいた、医療機関における携帯電話利用の利用ルール一例(あくまでも例であり、これそのものがガイドライン・指針になるわけでは無い))
医療機関では電波環境協議会が1997年に策定した「医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針」をガイドラインとし、原則的な携帯電話の利用禁止など、厳しい制限が設けられていた。しかしその制定当時から携帯電話の性能の向上(例えば当時基準だった第二世代の携帯電話サービスの廃止)、医療機器の電磁的耐性に関する性能の向上、携帯電話そのものの日常生活への浸透ぶりなど、周辺環境は大きな変化を遂げており、言葉通り前世紀のものとなるガイドラインを準用し続けることに対する弊害は小さからぬものとなっていた。特に携帯電話を上手く活用する、利用を許可することで医療そのものの高度化・効率化や、患者の利便性や生活の質の向上につながることから、各方面でガイドラインの現状に即した改定が求められていた。
これを受けて電波環境協議会でも関係各方面との検討の末に2014年6月には「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針(案)」を策定し、その内容を公開。内容に関する意見を一般から公募(いわゆるパブリックコメント)した上で、今回正式なものとして公開された。
離隔距離については、安全を考慮して1メートルを設定。ただし各機関で独自に試験を行った結果によるものや、機器自身で安全距離を設定している場合は、それ未満でも設定が可能。また、マナーや個人情報・医療保護の観点では、通常の携帯電話使用時における要件とほぼ同じで、かつ医療機関における特異性を配慮した運用が求められる(例えば通話機能の利用は他の患者の静養をさまたげる可能性があるため、適切な使用制限を設けるべきであるなど)。
さらに医療機関内のエリアごとのルール設定も、それぞれの場所の特性に合うよう行うべきであるとしている。例えば手術室やICU、検査室などは、万が一のリスク発生時の影響が非常に大きいため、携帯電話などの利用は原則禁止とする、持ち運ぶ事案が生じても必ず電源を切るなどの行為が求められている。
多くの人が関係するであろう、待合室や廊下、病室における「ガイドライン」は次の通り。この内容がそのまますべての病院に適用されるわけではないことに注意。
●待合室、ロビー、食堂、廊下、エレベーターホールなど
通常は医用電気機器が存在しないエリアであるため、マナーには配慮しつつ、通話などを含めて使用可能とすることができる。ただし、医用電気機器を使用している患者がいる場合、医用電気機器から設定された離隔距離以上離すこと。また、使用が制限されるエリアに隣接している場合は、必要に応じて使用制限を設定すること。なお、歩きながらの使用(いわゆる歩きスマホ)は危険であるため、ひかえるよう注意喚起をすること。
●病室
このエリアで通常使用されている医用電気機器は限定されており、携帯電話端末の使用による医用電気機器への影響の程度は比較的少ないと考えられる。よって、このエリアは携帯電話端末を使用可能とすることができる。ただし、影響が懸念される機器が存在する場合もあるため、医用電気機器からは設定された離隔距離以上離すこと。
また、医用電気機器を使用している患者がいる場合も、医用電気機器から設定された離隔距離以上離すこと。
多人数病室の場合は、通話などは、病室内の他の患者の静養が妨げられる可能性があるため、制限を設けるなどの配慮がなされることが望ましい。なお、メール・ウェブ閲覧などの音が外部に出ない使用は他の患者の静養を妨げる可能性は低いと思われるが、必要に応じ、夜間の使用を禁止するなどの制限を設定すること。
通常は医用電気機器が存在しないエリアであるため、マナーには配慮しつつ、通話などを含めて使用可能とすることができる。ただし、医用電気機器を使用している患者がいる場合、医用電気機器から設定された離隔距離以上離すこと。また、使用が制限されるエリアに隣接している場合は、必要に応じて使用制限を設定すること。なお、歩きながらの使用(いわゆる歩きスマホ)は危険であるため、ひかえるよう注意喚起をすること。
●病室
このエリアで通常使用されている医用電気機器は限定されており、携帯電話端末の使用による医用電気機器への影響の程度は比較的少ないと考えられる。よって、このエリアは携帯電話端末を使用可能とすることができる。ただし、影響が懸念される機器が存在する場合もあるため、医用電気機器からは設定された離隔距離以上離すこと。
また、医用電気機器を使用している患者がいる場合も、医用電気機器から設定された離隔距離以上離すこと。
多人数病室の場合は、通話などは、病室内の他の患者の静養が妨げられる可能性があるため、制限を設けるなどの配慮がなされることが望ましい。なお、メール・ウェブ閲覧などの音が外部に出ない使用は他の患者の静養を妨げる可能性は低いと思われるが、必要に応じ、夜間の使用を禁止するなどの制限を設定すること。
マナーや利用機器なども合わせ、他人への配慮は多分に必要となるが、現状のガイドラインに合ったルールと比べれば、随分と自由度の高い状況が想定できる。
電波環境協議会では今後、今回発表された指針を総務省や厚生労働省などを通じて関連業界などへ周知していくとしている。今後このガイドラインに合わせ、医療機関などにおける携帯電話の利用ルールについても、変化が生じていくことになるだろう。特に入院患者においては、携帯電話やパソコンの利用の点で、随分と自由さが増すことになるかもしれない。
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