すき家、人材不足で1167店舗にて深夜営業を一時休止
2014/10/01 06:57
ゼンショーなどは2014年9月30日、第三者委員会の指摘を受けて労働環境などの改善を行ってきた問題に関して、先に表明してきた「2014年9月末までに深夜複数勤務体制の確立を果たす」件について、589店舗で体制作りが整い24時間営業を継続すると発表した。一方、人材確保などがかなわない1167店舗は当面深夜営業(午前ゼロ時から午前5時)を休止、87店舗は曜日によって24時間営業を休止することとなる。同社では今後人材確保の状況により各店舗の営業施策は変化するものの、複数勤務体制の確立できない店舗では深夜営業を休止すると説明している(【発表リリース:「すき家」の労働環境改善に向けた改革の進捗について】)。
↑ すき家の発表を伝える報道映像。【直接リンクはこちら:牛丼「すき家」、全国1200店舗で24時間営業を中止へ(14/09/30)】
↑ 2014年10月1日時点でのすき家の状況
すき家では従来から店舗運営における人材不足が問題視されていたが、今年の春先に展開された作業工程数の多い鍋メニューでそれが顕著化し、さらに昨今の労働市場環境の変化が加わり、年度替わりによるアルバイト店員の退社・深刻な人材不足・残存店員の負担増という悪循環に陥っていた。この問題に関して店舗内の構造のリニューアルで工程の軽減化を図ると共に、第三者委員会を組織し労働環境の改善策を模索、その提言に基づいた施策による状況改善を推し進めていた。
とりわけ深夜営業帯におけるワンオペ(店員一人での業務遂行)問題は作業面に加えて防犯面の観点でも深刻で、この改善のために人材の確保を進めると共に、2014年9月末を区切りとして、その日までに状況改善を図ることを表明していた。
今回発表された状況報告によれば、すき家全店1981店舗のうち、リニューアル作業中の店舗や特殊形態、特殊状況下にある店舗をのぞいた1843店舗において、人材が確保でき、引き続き24時間営業が出来る店舗は589店舗に留まる事が明らかにされた。また87店舗は曜日によって人材の確保が出来、曜日限定での24時間営業が実施されることになる。
そして残りの1167店舗に関しては、深夜の人材確保がかなわず、当面深夜時間帯(午前ゼロ時から午前5時)の営業を休止することとなった。この深夜営業休止の店舗については、機械警備会社の防犯システムを順次導入し、店舗が無人状態になる時間帯における防犯体制を強化するとのこと。
また今件に合わせ、ゼンショーは「株式会社すき家本部」に名称を変更すると共に、これまでのすき家以外の事業も合わせて行っていたものを、ゼンショーホールディングスの100%子会社エイ・ダイニングへ事業承継する。すき家本部はすき家事業に特化し、事業の状況改善に取り組むとしている。
リリースによれば24時間営業の状況に関しては、人材確保次第で変化するとしている。今後深夜帯の人材が確保できれば24時間営業の店舗数は増えていくことになるが、場合によっては逆に減る可能性もある。店舗の営業時間の短縮は、利益換算の点ではまた別だが、少なくとも売上の点では減退を導くことになる。今後の動向を注意深く見守りたいところだ。
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