ノバルスティスとグラクソ・スミスクライン、新型インフルエンザワクチンの日本国内への輸入正式契約を締結

2009/10/08 07:52


ワクチンイメージノバルスティスとグラクソ・スミスクラインは2009年10月6日、日本政府(厚生労働省)とH1N1新型インフルエンザワクチンについて、日本国内に輸入する正式契約を締結したと発表した(【ノバルスティス側リリース】【グラクソ側リリース】)。



【医療関係者とハイリスク者などを対象・新型インフルエンザのワクチン接種優先対象者最終素案発表】にもあるように、新型インフルエンザに対するワクチンについては、日本国内生産分で間に合わない分は輸入ワクチンを用いる事が決まっている。両社が輸入するワクチンの概要をリリースから抜粋すると、次のようになる。

●ノバルスティスファーマ
【短期間で量産可能な細胞培養の新型インフルワクチン「Celtura」、1回の接種で8割の免疫を確認】で紹介した「Celtura」。
・欧州4か国で1300人を対象にした臨床試験済み。9月16日から国内でも接種開始。現時点で重篤な副反応の報告なし。
・ドイツのマールブルグ工場で生産したものを日本向けに輸出。
・数などの発表は無し。

●グラクソ・スミスクライン
・ドイツで生産されている。
・2009年9月29日にECから2009年度の新型H1N1インフルエンザの予防を適用として承認を受け、27か国での販売が認められている。
・さらに評価するため現在9000人を対象に16の臨床試験を欧州やカナダ、アメリカで実施中。国内でも近日中に臨床試験開始予定。
・鶏卵ベースのワクチンで、アジュバント(免疫増強剤)を添加して使用。
・供給量は3700万人分(3週間以上の間隔で一人2回接種)

流行動向から見ると、今年の新型インフルエンザ(インフルエンザA(H1N1))の流行ピーク時にはこれらのワクチン配布が間に合わない可能性は高い。とはいえ、新型インフルエンザのワクチン開発における事情(新型インフルエンザが確認されてからでないとワクチン製造にはかかれない、季節性インフルエンザワクチンとの生産のバランスの兼ね合い、緊急時に備えたワクチン開発・増産のための予算措置の取りやめ示唆)を考えれば、現時点では最善を尽くしているとしても良い。

一方で日本国内のワクチン生産量が非力なのは、一昔前に行われた対季節性インフルエンザ用ワクチンに対する過剰なまでのバッシングにより、ワクチン接種が任意性のものとなり、需要が激減。それに伴い生産力を各社が激減せざるを得なくなったという事情によるところがある。「正しい知識と認識」の元に情報を伝達する仕組みの構築や、必要に足りるワクチン生産力の増強など、今回の件を反省材料とし、今後に備えるべきだろう。



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