【更新】陸自の新練習ヘリ、エンストロム480Bに決定

2010/02/15 07:05


エンストロム480Bイメージ防衛省は2010年2月10日、陸上自衛隊の新練習ヘリコプターの機種選定について、同日の開札の結果、【エアロファシリティー社】エンストロム480B(ENSTROM 480B)に決定したことを発表した。落札価格は2億0882万3793円(税込)。数量は1機。入札ヘリには他にエアージャパンのシュワイザー333Mや【川崎重工業(7012)】のMD500Eが存在していた([発表リリース])。



↑ リリースによるエンストロム480Bの全景
↑ リリースによるエンストロム480Bの全景


↑ Enstrom 480B with Dennis Kenyon。【直接リンクはこちら】

今回の入札には「総合評価落札方式」という、機体本体の価格だけではなく、各種の機能、性能、維持経費などを含めて、国にとって有利な提案を行った者を落札者とする方式が用いられた。機種の決定は、評価基準に基づき、必須項目(単発タービンエンジン、騒音基準値以下など)を評価する「基礎点」(すべての項目を満足する場合は100点、満たさない場合は評価の対象外)及び必須項目以外の項目(最大巡航速度、運行実績など)を評価する「付加点」(10点満点)の合計値を、入札価格及び維持経費の合計金額で除して得られる評価値に基づき行われている。

その結果、エアージャパンのシュワイザー333Mは必須項目を満たさない項目があったため評価の対象外、MD500Eは入札価格が予定価格を超過していたので評価の対象外となり、評価値23.19704063を得たエンストロム480Bが採用されることになった。

↑ 入札ヘリ価格比(概算基本価格は「工場出し価格」)
↑ 入札ヘリ価格比(概算基本価格は「工場出し価格」)(参照:【ヘリコプター比較表】)。

なお落札価格と直上グラフの基本価格に違いが生じているのは、概算基本価格はあくまでも工場出し価格で最低限のオプションを装備しただけの価格であるため。実際に今回のように購入するには梱包輸送費や通関費、消費税、登録料、検査料、各種オプション料、商社手数料などがかかる。ディスカウントストアで数千円のトースターを持ち帰りで購入するのとではワケが違う。

エンストロム社は1959年にアメリカ・ミシガン州で創立し1100機以上のヘリコプターを世界に送り出してきた、実績のある会社。現行モデルは今回採用されたタービンエンジンの480B以外にピストンエンジンモデルの280FX、F28Fがある。会社案内にいわく「低運用コスト、高い安全性、優れた操縦安定性が特徴のヘリコプター」とのこと。

単純な数字上のスペックを見ると、選定にもれた他機種と比べて積載量・最大巡航速度に劣るものの航続距離が長いのが見て取れる。何よりコスト的に充足しているのが今回採用された大きな要因だろう。ただ、何分にも他の陸自ヘリ(UH-60JAやCH-47JAなど)とは別個のメーカー・部品によるもので、メンテナンスなどの際の互換性の点ではやや苦労するかもしれない。



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