カゴメ、トマトなどに含まれるリコピンが腎障害の予防効果を期待できることを確認
2010/06/22 06:39
【カゴメ(2811)】は2010年6月21日、国際医療福祉大学薬学部・横山秀克准教授との共同研究で、動物実験においてトマトに含まれるリコピンが、腎臓に障害を与えると考えられているフリーラジカルの消去を早めること明らかにした。これによりリコピンには腎障害の予防効果が期待できるとしている(【発表リリース】)。
トマトに含まれるリコピン(赤い色素。カロテノイドの中でも優れた抗酸化作用を有し、活性酸素が原因と考えられる様々な疾病の予防作用が期待されている)には抗酸化作用があり、実験的に作られた腎障害を改善したという報告がある。しかし今までリコピンを投与した実験動物の腎臓における抗酸化能を、実験動物が生きたままの状態で観察した例はなかった。今回、リコピンを摂取したラットの腎臓を、ラットが生きたままの状態でESR(Electron Spin Resonance;電子スピン共鳴)装置を用いて計測することにより、はじめてリコピン投与が腎臓の抗酸化能を亢進(こうしん。機能などを高めること)させることを明らかにできた。この結果は、リコピン摂取が腎障害予防効果をもたらすことへの期待につながるとしている。
今件実験では、様々な物質をろ過する働きを持つ臓器「腎臓」において、ろ過の際に多量に生じ、腎臓自身に障害を与えると考えられている「フリーラジカル(不対電子を持つ原子や分子などの総称で、他の物質から電子を奪って酸化を促すため、生体内の様々な組織へ障害を与える)」に対し、リコピンが有意に減少速度を速めさせることを証明したもの。ラットにリコピン入り・リコピン無しの資料を2週間摂取した後にフリーラジカル(の一種であるテンポール)を注入し、共振器を用いてフリーラジカルの半減期を測定。結果として、リコピンを摂取したラットはそうでないラットに比べ、フリーラジカルの消去速度が速いことが示された。
↑ リコピンの摂取が腎臓中テンポール半減期に与える影響(平均±標準誤差、n=8、t-test、**P<0.01 vs. 通常飼料群)
結果として「リコピンの摂取は腎臓のフリーラジカルをより素早く消去するため、フリーラジカルが原因である腎障害の予防に有効であることが期待できる」としている。ざっと一言でまとめると「トマトのリコピンが、腎臓を痛める可能性があるフリーラジカルを素早く消しさるので、腎障害のリスクを減らせるかもしれないよ」ということ。
もちろん「トマトを食べれば腎障害にならない」とか「腎障害が治る」というわけではなく、あくまでも今件は「トマトのリコピンが、腎障害の要因の一つであるフリーラジカルを通常より速く消去し、予防に有効であることが”期待できる”」に過ぎない。
ただしこういう研究成果の積み重ねが、さらなる大きな成果につながることもまた事実に他ならない。今回の発見・裏付けが、大きな発見・発明の礎となることを期待したい。
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