イラク通貨「イラクディナール」の取引勧誘に要注意

2010/06/30 06:43


イラクディナール国民生活センターは2010年6月24日、イラク通貨「イラクディナール(Iraq Dinar)」の購入に関するトラブルに関する警告を発表した。「ディナールを購入しておけば将来円に両替した時に儲かる」とするものだが、円への換金そのものが困難であることや「絶対に儲かる」とする言及も目立つことから、いわゆる「未公開株式」の問題と同列のものとして注意を呼び掛けている(【発表リリース】)。



↑ イラク・ディナール紙幣(「見本」・斜め線は当方で追加)
↑ イラク・ディナール紙幣(「見本」・斜め線は当方で追加)

今件は高齢者や、過去に未公開株などの投資トラブルにあった消費者を狙い、業者が「イラクの通貨(イラクディナール)をいま買えば、将来、円に両替したときに儲かる」と電話や戸別訪問、ダイレクトメールなどの方法で勧誘する、といったトラブル。2009年夏頃から報告が寄せられるようになり、特に今年の3月以降相次いでいるとのこと(3月以降毎月10件単位でセンターに相談が寄せられている)。業者の勧誘後に別の業者が「購入すれば高値で買い取る」と消費者の投資欲をあおって購入させたり、過去に投資トラブルにあった消費者に被害回復を期待させて契約させるなど、最近の未公開株トラブルと同じ手口も見られるという。

リリースによればディナールについては、

・他の米ドルやユーロなどの通貨とは異なり、国内では極めて取引がしにくい通貨であるため、ディナールを購入しても円に換金することは困難である。また、「絶対に儲かる」といった勧誘も目立つが、鵜呑みにすべきではない。

・業者は口頭やパンフレットで「イラクの経済状態が改善している」「イラクからアメリカ軍が撤退すると政情が安定する」ことを理由に「現在、イラク戦争前の数百-数千分の1にまで下がっているディナールの通貨価値は今後高騰するので、いま購入して将来、円に換金すれば、何十倍にも儲かる」と断定するなど、問題のある説明を消費者にしている。

・相談事例は「25000ディナール紙幣(上の写真)」を10万円で買わされた事例が相次いでいる。

・現在、ディナールの市場における為替レートについて信ぴょう性のあるデータはないことから、仮に、関税を支払う場合に用いられる為替レート(2010年6月24日時点で適用される為替レートは、100ディナールは8円弱)を用いて計算すると、25000ディナールは2000円弱に過ぎない。

と説明している。恐らくは「未公開株式」問題と同様の手口の一つとして「ディナール」が使われていると想定できるが、特に情報収集が苦手な人に対するアプローチへの懸念がリリースでも示唆されており、本人はもちろん、周辺に該当しそうな人がいる場合には十分な注意が必要になる。

ちなみに海外のオークションサイト最大手の「ebay」でも25000ディナール紙幣が【多数売りに出されている】が、安値では送料込みで25ドル程度(2250円)。収集家による美品としてのコレクターズアイテムとしてならともかく、紙幣そのものの実売価格はこのくらいのものだろう。



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