シャープも電子書籍に参入、新端末の展開や配信事業も

2010/07/21 06:30


シャープの電子書籍端末【シャープ(6753)】は2010年7月20日、動画や音声を含めた表現が可能な次世代電子書籍フォーマット「次世代XMDF」を開発し、これを元に今年中にも電子書籍事業に本格的に参入すると発表した。出版社・新聞社・印刷会社などと協力し、タブレット端末の展開だけでなく配信サービスも手掛けることになる(【発表リリース】)。




↑ ↑ シャープの電子書籍市場参入を伝えるニュース(局公式のもの、写真は左がシャープの情報通信事業統括執行役員を務める大畠昌巳氏、右がアメリカ・シャープの家電マーケティング本部長のボブ・スキャグリオン氏。シャープのプレスリリースから)。
↑ シャープの電子書籍市場参入を伝えるニュース(局公式のもの、写真は左がシャープの情報通信事業統括執行役員を務める大畠昌巳氏、右がアメリカ・シャープの家電マーケティング本部長のボブ・スキャグリオン氏。シャープのプレスリリースから)。【直接リンクはこちら】

2001年から使われてた従来型「XMDF」方式と比べ、「次世代XMDF」では動画や音声を含めたデジタルコンテンツを手軽に閲覧できるほか、文字サイズに合わせて自動で段組みを変えられるレイアウト機能なども備えている。さらに、端末でのユーザーインターフェイス(UI)技術と合わせることで電子書籍の楽しみを拡げ、また、1つのコンテンツをタブレット端末だけでなく、スマートフォンやパソコン、テレビなど複数の機器で閲覧できる「ワンソース・マルチユース」を特長としている。

リリースでは特に言及されていないが、同日行われた記者会見の【報道記事(Internet Watch)】
などによると、

・5.5インチ画面(スマートフォンタイプ)と10.8インチ画面(タブレットタイプ)の2種類を試作機として公開
・価格、詳細は未定で、今後改めて発表
・具体的なビジネスモデルについては、端末の詳細発表時に合わせて発表
・配信サービスでは大日本印刷、凸版印刷など大手印刷会社、新聞では毎日、日経、西日本など、出版会社では週刊ダイヤモンド、日経ビジネス、プレジデント、週刊東洋経済などが参加表明
・アメリカのベライゾン・ワイヤレスともパートナーシップを協議中で、アメリカ市場への参入も計画

などが伝えられている。

すでに日本国内の大手企業では、ソニーやNECが電子書籍を読める端末を日本国内で発売する方針を明らかにしている。先日日本国内でも発売されたタブレット型情報端末iPadは、電子書籍リーダーとしての役割も果たしており、同分野での先行役的立ち位置にある。

2種類の端末利用者側としては複数の電子書籍リーダーを持つ必要は無く、「どれか一つ」があれば十分。どの端末を使えば自分の読みたい書籍をカバーできるのか、使いやすいスタイルで「読書」が可能なのか、コストパフォーマンスは自分にとって最適なものなのか。まるでずらりと店頭に並ぶビデオデッキや携帯音楽端末、携帯電話を目の前に、色々と吟味するかのような迷いを、利用者に生じさせるような状況になるのかもしれない。

少し前までは出版社側の躊躇などが理由で「日本では電子書籍などまだまだ先の話」としていたのに、事態が急速に展開していることで、戸惑いを覚える人もいるに違いない。液晶技術では定評のあるシャープが市場に送り出す電子書籍リーダーが「戸惑いに終止符を打つ決定打」的な存在となるのか否か、注意深く見守りたいところだ。



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