太平洋戦争時の軍用機「銀河」「月光」などの設計図、「空と宇宙展」で公開中

2010/11/06 06:59


銀河2010年10月26日から2011年2月6日まで国立科学博物館で開催されている【空と宇宙展-飛べ! 100年の夢-】において、太平洋戦争時に当時の日本海軍が開発した「銀河」「月光」などの軍用機の設計図が多数展示されていることが分かった。国立科学博物館が発見し、その一部を公開しているもの。不意な作業での劣化を防ぐため、発見時の包装が成されている状態のままではあるが、非常に貴重な資料を直に見られる機会には違いない。



↑ 公開中の設計図
↑ 公開中の設計図

今件の資料発見は同年10月18日に日本経済新聞が第一報として伝えたもの。国立科学博物館の鈴木一義・理工学研究部科学技術史グループ長が発見したもので、図面には主翼や操縦室、計器などの部品の仕様が詳細に描かれている。鈴木氏は「当時の日本の技術力を知る貴重な資料だ」とも報じられていた。

今件については事実であることを当サイトGarbagenews.com側で国立科学博物館側に確認した上で、現在開催中の「空と宇宙展」でその一部を特別展示場で公開中なことも確認できた。ただし発見された資料については経年のため紙の質がかなり劣化しており、不用意に包みを開けると書類そのものが劣化する恐れがあるため、公開中の一部の設計図についても展開して内部を見せる状態ではなく、「発見された状態のまま」の姿の公開とせざるを得ないとのこと。

現時点では公開されている一部資料の設計図以外に公開できる情報は無く、今後については「資料そのものが大量にあること」「包みの開封やその後の処理には慎重を期す必要があること」から、分析には時間を要するとの話。何か新しい事実が判明すれば、逐次展示などを通じて情報を公開すると博物館側では説明している。

なお国立博物館では今件資料も含め、酸性紙で創られた資料の中和・延命を図るための技術について【酸性紙資料に対する脱酸処理】で解説している。技術そのものはすでに確立されているが、新技術が開発されてもなお、コストや人手などの問題がハードルとなっているようだ。

今回発見・公表されている資料は、鈴木氏がコメントしているように当時の日本の技術力を知るのはもちろんのこと、各種軍用機の不明な点を明確化する上でも、航空機史上の空白部分を埋める意味でも、大変貴重な資料であることに違いない。処理と分析は当然日本にとっても有意義な事業に他ならず、慎重に取り扱ってもらうのはもちろんだが、同時に積極的に取り組んでほしいものである。


※資料提供:【@admkino】氏。多謝!



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