絶版漫画の無料公開場「Jコミ」、「ネギま!」の赤松健先生らが開設へ
2010/11/18 07:16


↑ 現在公開されているJコミイメージ

↑ 配信PDFファイルに関するコンセプトイメージ
「Jコミの中の人」などによれば、「Jコミ」は雑誌や単行本からスキャニングされてデジタルデータ化された漫画がインターネット上で違法に公開されている状況に業を煮やした赤松氏が模索中のサービスで、現在絶版となっている漫画(大抵の場合最終的な権利は著作者に一元化される)を作者の了承を得た上で「広告付き」のPDFファイルで無料配信。そこから得られる広告料を各作者に還元するというもの。いわば「絶版漫画図書館」のようなもので、PDFファイル自身はDRM(Digital Rights Management:デジタル著作権管理)を掛けない形での配信となる予定。
「無尽蔵にコピー転送されるリスク」については、「広告ページ・部分も共にコピーされるので問題無し」「PDFの改ざん防止機能を用い、印刷・広告部分のみ抽出されることを防ぐ」などと説明している。

PDFファイル形式での書籍展開としては【集英社の「ウェブ立ち読み」、7点・530ページ超追加で計8点へ】で紹介した【ウェブ立ち読み】サービスが記憶に新しい。こちらは「実書籍購入を期待した広報展開としてのPDF公開」だが、今件「Jコミ」は配信されたPDFそのものが「収益のベース」となることを前提としている。絶版状態の書籍を著者の許諾を受けた上で手に入れることができ、さらにその著者に何らかの還元がありうる仕組みを提供することは、非常に興味深い試みといえる。
システム面や運営面の課題は山積しているものと容易に想像できる。また、【日本語フォントに正式…対応米アマゾンで電子書籍リーダー・キンドルの新型登場。139ドルの廉価版も】でも紹介したアマゾン・キンドルの日本版展開の際への対応、既存電子書籍フォーマットなど類似の仕組みとの兼ね合わせなど、ビジネスモデルの上でも決めねばならないことは多い(PDF配信による広告モデルだけ、と割り切ることも不可能ではない)。それらをもってしてもなお、最近執筆者側から相次いでいる「自らが生み出した書籍や漫画と、読者との新しいかけ橋の創造の模索」の一つの形として、注目したいところだ。
スポンサードリンク