「押し買い」に注意…国民生活センターが注意喚起

2011/01/29 06:48


押し買い国民生活センターは2011年1月26日、昨年12月21日に発表した貴金属などの買い取りサービスに関するトラブルについて一部を修正すると共に、再度の公知を行った。昨今の貴金属価格の高騰を受け、不意に自宅を訪問して鑑定を行うと偽るなどの手口で口車に乗せ、強引な勧誘の上、貴金属やアクセサリー、和服などの高級品を買いたたく、俗に言う「押し買い」に対する注意喚起である。センター側では消費者に対し、買い取るつもりが無い場合には毅然とした態度で断ると共に、古物商許可証などの提示を求めたり、複数人数で対応すべきなど、留意事項をアドバイスしている(【発表リリース】)。



↑ 「押し買い」相談件数
↑ 「押し買い」相談件数

↑ 「押し買い」当事者の年代別割合(不明・無回答除く)
↑ 「押し買い」当事者の年代別割合(不明・無回答除く)

【環境省、「自治体で不用品回収業者をもっとチェックして」との通達】などでもお伝えしているが、貴金属も含めた素材物品の価格高騰を受けて、「無料で廃品を回収する」とうたっておきながら色々と難癖をつけて料金を請求したり、回収した物品の不法投棄を行う業者が増加、苦情もそれと共に増加を見せている。これに類する動きといえるのが、今回の貴金属などの買い取りサービスに関するトラブル。

金やプラチナなどの貴金属価格の高騰は世間一般に知られるところであり、それだけ話題に一般性があると踏んでか、自宅を突然訪問、強引な勧誘や冷静な判断をさせる間もなく売買契約を結ばせてしまうという事例が相次いでいる。最近では件数も増加したため年齢が拡散する傾向にあるが、それでもなお高齢者に対する事例が圧倒的であるのが事実。

このような事例の場合、消費者側が業者に代金を払ってサービスの提供を受けるわけでは無く、たとえ業者が自宅を訪問して契約した場合であっても、特定商取引に関する法律の規制を受けないとの考え方が一般的。いわゆる「クーリング・オフ」を提起するのは困難となる。

リリースには具体的な事例も多数寄せられているが、例えば

・着物の買い取りのはずなのに、「ついでに」とばかりにいきなり指につけていた形見の指輪などを奪い取るかのように鑑定。ネックレスと指輪、ブレスレット(それぞれ10万円以上の品)を合わせて1700円で買い取ると断じて、業者は代金と領収書を一方的に手渡した。さらに業者は古銭や切手はないかと詰め寄ってきた。納得は出来ないが怖くて断れなかった。
・貴金属の出張買い取り業者が認知症の母親の元に勝手に上がり込み、タンスを家探ししていた。
・集合住宅の各戸を夜8時から9時までの間、毎日のようにドアを激しく叩いたりチャイムを何度も押して来訪。しきりにその場でネックレスなどを鑑定して現金で買い取ると主張。断ってもしつこく要求してくる。

など、「押し売り」ならぬ「押し買い」のような話が挙げられている。

センター側では「不意に勧誘される」「特商法の適用は困難」「執拗な勧誘、強引な買い取り」「書面、明細を出さない」「個人情報の扱いが問題」「一度業者に品物を渡すと返品を受け付けてもらえない」などの傾向・問題点を指摘。

これらの状況を受けてセンター側では消費者に対し、

・買い取ってもらうつもりがないなら毅然と断ること
 (退去するように命じても居座った場合は不退去罪が成立しうる)
・一人で業者に対応するのは避けること
・相手がどのような業者なのか確認すること
 (古物買い取り業者、つまり古物商は古物営業法の定めにより、古物買い取りをする時には「古物商許可証」か「古物業者従業者証」の携帯が義務付けられている。まずはそれの提示を求め、内容を記録しておくこと。対応に応じない業者はアウト)
・買い取り条件などが明記された書面をもらうこと
 (素人に相場判断は困難)
・なにかあったら最寄りの消費生活センターや警察に相談すること

などの注意を発している。

「押し売り」の変形スタイルでもあり、昨今の貴金属価格の上昇、さらには高齢者の一人暮らし世帯の増加など、様々な条件が重なったことで増加していると考えられる「押し買い」。特商法の抜け道を悪用するあたり、相当に自らが悪事を働いているとの自覚を持った上でのやり口といえる。また、真面目に買い取りをしている業者にとっては迷惑以外の何物でもない。

最後の消費者への注意事項のうち、特に「一人での対応は避ける」と「古物商許可証」などの提示を求めるのは重要。自分自身はもちろん、周囲に該当しそうな人がいたら、折を見て注意を呼び掛けるようにしてほしいものだ。



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