インターネット上の情報を収集・分析して信頼性判断の手助け材料を提示する「情報信頼性判断支援システム」開発、試作システム稼働

2011/02/04 19:30


グラフ日本電気株式会社、東北大学、奈良先端科学技術大学院大学、横浜国立大学は2011年1月31日、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)情報信頼性プロジェクトの協力を得て、インターネット上の大量のテキスト情報を分析・整理し、ある意見について、その判断の裏付けや参考となるような情報を複数の観点から表示することで、情報信頼性の判断を支援する技術「情報信頼性の判断を支援する技術」を共同開発したと発表した。入力された意見に対し、その意見の信頼性や有効性の判断を手助けするために、各種情報を提示する技術であり、それを用いた「情報信頼性判断支援システム」を試験的に公開している(【発表リリース】【試験運用サイト】)。



↑ 試験運用ページでは分析済みトピックで状況を確認できる
↑ 試験運用ページでは分析済みトピックで状況を確認できる

↑ 「子供の携帯電話所持は禁止すべき」との意見に関する賛否意見
↑ 「子供の携帯電話所持は禁止すべき」との意見に関する賛否意見

現在のインターネット情報検索では、有象無象の検索結果が大量に表示され、利用者がその中から信頼性や価値の高い情報を探し出し、判断の材料とすることが難しいのが実情。今回開発された技術では、利用者が気になる意見を入力すると、関連するネット上の大量のテキスト情報を分析・整理し、その信頼性や有用性判断の裏付けとなるよう、賛否やその根拠となる意見、意見の対立点の解説、人々の意見に影響を与えた出来事を提示する。利用者はこれらをもとに、一つの意見にかたよらない広い観点から情報を得ることができるため、ネット上に溢れた情報の信頼性判断に役立てることができる。

リリースによれば本技術を応用することで、例えば、検索結果や商品の説明ページ、体験談などで見つけた気になる意見に対して、関連する他の意見を容易に調べることが可能となる。また企業においても、商品のアンケートやブログなど個人の意見を分析・整理できるようになり、マーケティングや新しい情報提供サービスへの応用が期待できるとしている。

現時点では分析済みのトピックスから選んで結果を表示させるに留まっているが、今後逐次分析項目を増やすと共に、最終的にはリアルタイムの分析機能(つまり入力した問いに対しその場で分析を行い結果を表示する)ことも予定しているという。

分析結果をいくつか精査してみたが、入力された項目に対し、賛成・反対それぞれを後押しするキーワードや文面を見出し、それらが存在するサイト・ページを賛成意見・反対意見などに区分しているようだ。これは以前【ネット上での噂やニュースで企業をリサーチできる「ファイナンスチャンネル」、freshEYEでスタート】【ヤフー、ブログ検索に「評判情報検索」「まとめ検索」など新機能を追加】などで紹介した、特定キーワードに対するポジティブ・ネガティブの判断サービスに類する感がある。そして例えばキーワード単位では確かに賛成意見に該当する言い回しではあるが、文面を読み解くと実は反対意見そのものだったという場合も少なからず確認でき、「情報信頼性の判断技術」ではなく「情報信頼性の判断”を支援する”技術」であるのが理解できる。

ただし確率論的に考えれば分析対象量が増えれば増えるほど、正しく区分される意見数も増加することになる。そして判断をする材料を今後増やしていけば、区分の精度も上がるのは確実。現状の精度でも「対立点の解説」機能は分析の上でかなり役に立つだけに、さらなる機能向上には期待が持てる。

↑ 対立点の解説。さまざまな材料をスマートに分析している
↑ 対立点の解説。さまざまな材料をスマートに分析している

任意の入力トピックスに対してどのような分析精度を見せてくれるのか、今後の公開区分の拡大が楽しみではある。



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