【更新】「うがい薬などのヨウ素を含む一般市販薬」を飲んではダメ・「効果がある」は誤情報
2011/03/17 12:10
厚生労働省やうがい薬「イソジン製剤」を発売する明治製菓などは2011年3月15日、独立行政法人 放射線医学総合研究所のリリース(2011年3月14日発表)を引用する形で、ヨウ素を含む非飲用消毒剤などを飲むことを堅く禁じる公知を行った。インターネットなどを介し、「ヨウ素を含んだ薬を内服薬代わりに飲むと放射性ヨウ素に効く」といううわさが広まっているため。同研究所ではこれらの薬は有害物質も含まれているため危険であること、抑制効果は無いことを述べると共に、飲用行為を止めるよう訴えている([発表リリース、PDF])。
先日発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)とそれに続く群発地震、さらにその地震と津波を起因として現在も続いている福島第一原発のトラブルに絡み、「汚染を防ぐためにヨウ素が入っているヨードチンキやうがい薬を服用すれば良い」といううわさが流れている。
実際に放射性ヨウ素が大量に体の中に入った場合、健康への影響を低減するために、内服薬である「安定ヨウ素剤」を医師が処方する場合はある。しかし市販の塗り薬やスプレー薬でヨウ素を含むものを服用しても効果はほぼゼロどころか、害をもたらす可能性が極めて高い。同研究所では「市販のヨウ素を含む薬を『安定ヨウ素剤』の代わりに飲むのは絶対に止めて下さい」としている。
その理由として、
・うがい薬などの市販品は内服薬ではない。これにはヨウ素以外の成分が多く含まれ、体に有害な作用を及ぼす可能性のある物質も含まれている。
・たとえ飲んだとしても、ヨウ素含有量が少なく、放射性ヨウ素が集まるのを抑制する効果が無い。
・たとえ飲んだとしても、ヨウ素含有量が少なく、放射性ヨウ素が集まるのを抑制する効果が無い。
を挙げている。「百害あって一利なし」というわけだ。
また、ヨウ素を含む食品としてわかめなどの海藻も知られてはいるが、こちらも
・含まれる安定ヨウ素が一定ではなく、十分な効果を得られるかは不明。
・コンブなどは良くかまなければならず、消化過程が必要であり、吸収まで
の時間がかかる。
・コンブなどは良くかまなければならず、消化過程が必要であり、吸収まで
の時間がかかる。
などとし、害は無いものの、効果はほぼ無いとしている。
放射線医学総合研究所では「服用の『安定ヨウ素剤』代わりに、ヨウ素を含んだ市販品を飲んではいけない」「海藻などを食べても期待できる効果は無い」としている。そして「安定ヨウ素剤」そのものにおいては、「医師が処方するもの。原子力災害などの緊急時に、指定された避難所などで服用指示があった場合のみ、服用するように」と警告している。
本来服用薬で無いものを服用することがいかにハイリスクか、そして何の効果も無いことを、専門機関が伝えている。専門機関がわざわざ警告を発し、さらに関係省庁・製品発売元がリンクを貼って公知しているところをみると、相当の事例が報告されているようだ。また、店頭で見た限りヨードチンキ、うがい薬、のどスプレー、消毒用せっけん、ルゴール液など、いわゆる「ヨウ素を含む非服用薬」が品薄状態であるのは事実。すべてがすべて本来の目的のために購入されたとは言い難い。くれぐれも服用などせぬように。
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