救援物資搭載のモジュール船YAMATAI、八戸港に到着・荷物搬出完了
2011/03/29 12:10
【日本郵船(9101)】は2011年3月28日、東日本大地震(東北地方太平洋沖地震)の被災地に向けた約146トン救援物資を搭載したモジュール船YAMATAIが、予定の3月27日昼より早い同日午前8時に八戸港に到着したことを発表した。船積みされていた救援物資は同日午後のうちにすべて陸揚げされた(【発表リリース】)。
↑ 神戸港で救援物資を搬入するYAMATAI
↑ 神戸港を出港するYAMATAI
「YAMATAI」は2010年4月に竣工した特殊重量物輸送船(モジュール運搬船)。名前の通り、各種プラントなどのような大容量・大重量の構造物(モジュール)運送専用の船。モジュール化された対象物を安全に運び、積み下ろしが簡単にできるよう、デッキデザインとなっている。サイズは全長162メートル・全幅38メートル・載貨重量トン数19500トン・航海速力13.2ノット。同型船として「YAMATO」が存在する。船体底面部分にブロワ(空気送風機)を使って無数の気泡を生じさせ、両者間の摩擦を軽減させる「空気潤滑法」を用いているのが特徴で、通常形式より1-2割の省エネ効果が生じるという試算も出ている。
同船は当初ヘリコプターの洋上基地としての活用を申し入れていたが、【リリース】によれば「緊急性に鑑み救援物資の輸送」に専念することとなった(。輸送は要望があれば今後も続けていくとのこと)。搭載された救援物資は、「第1回救援物資ホットライン」として日本経済団体連合会と日本郵船が呼びかけた企業32社(【企業・団体一覧】)や、同じく呼びかけに応じた地方自治体、全日本海員組合、NPOなどから寄せられたものと日本郵船自身が手配したものを合わせた飲料水、食料品、乳児用品、衛生用品、生活用品など。総量は20フィート換算(輸送用の一般的なコンテナ。約6.1×2.4×2.6メートル)で24本分・約146トン。これは10トントラックにして16台分に相当する。
↑ 八戸港に到着したYAMATAI
27日午前に八戸港に到着したYAMATAIは救援物資を船上でコンテナからトラックに積み替えられ陸揚げ。28日中に被災地向けに区分された上で配送手続きが行われた。
モジュール船の可能性の一つ「ヘリコプターの洋上基地」としての運用が行われなかったのは多少残念な気もするが、「船上でコンテナからトラックに(荷物の)積みかえ」が可能な同船において、今回の輸送任務は状況を鑑みて最善の使い道と思われる。今後も臨機応変にその機能を発揮する場を与えられることを切に願いたい。
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