「クロネコヤマトの宅急便」、宅急便1個につき10円を被災地支援に・料金は変えず
2011/04/08 06:37

ヤマトホールディングスの関連会社ではすでに東日本大地震の被害に対し、岩手県、宮城県、福島県の3県に「救援物資輸送協力隊」を設置、車両200台、人員500人を用意して復興支援活動に取り組んでいる。その中で今回の震災による生活・産業基盤の損傷、とりわけ地域を支えてきた水産業・農業の被害が過去に例を見ない甚大さである事実が浮き彫りになった。
ヤマト側では被災地の産業の復興はもちろん、日本の「食生活」の危機にもつながりかねない状況であると判断。今後、被災地の産業が再生するためには、今回の震災で浮かび上がった諸課題を見据えた大胆な発想や革新的行動と、そのために必要な資金が不可欠であると認識。その上で、ヤマトグループとして出来ること、取り組むべきことを考えた結果、地域の生活基盤の復興と水産業・農業の再生支援のための資金として「宅急便1個につき10円を寄付する」こととし、これまで同社グループの宅急便を育んできた社会や地域へ恩返しすべきとの結論を導き出す。
今回決定した寄付に際し、宅急便の運賃表は変更しない(料金の値上げは行わない)。そして毎月の宅急便取扱い個数に基づく寄付金額を、復興に向けての支援活動を展開する公的な団体、基金などに月単位で寄付する。期間は2011年4月から2012年3月の一年間。寄付の寄贈先は被災地の生活基盤と水産業・農業の再生支援を目的に活動している公的な団体、基金などの予定(現時点では未公開・未定)。
また、取扱い個数の実績、寄付の金額、寄贈先・寄贈の趣旨は、同社公式サイトで公開していく。前年同期の宅急便取扱い個数は13億4876万9000個のため、同じ個数で推移した場合、約135億円の寄付額となる。これは同社が発表している2011年3月期における連結業績予想内の予想純利益340億円に対し、39.7%に相当する額。
当然その分同社の利益そのものは減少するが(厳密には寄付額が損金扱いとなるため、やや事情は複雑となる)、利用者視点で見ればサービスの利用が間接的に復興支援に寄与することなるため、宅配便の選択の際に大きなアドバンテージになることは間違いない。国内宅配便の最大手がこのような動きを見せたことで、同業他社や類似サービス業界の動向も気になるところだ。
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