東証、現物株取引時間の延長を今秋めどに延期・電力需要拡大を懸念
2011/04/09 07:39
東京証券取引所は2011年4月8日、先に【東証、現物株取引時間を5月9日から30分延長】でも伝えたように、同年5月9日から開始する予定だった現物株取引や金融派生商品(デリバティブ)取引の時間延長を、今年の秋以降に延期することを発表した。延期の理由については「電力需要の拡大を懸念して」と説明している(【発表リリース】)。
東京証券取引所では現在の取引時間が諸外国の証券取引所に比べて短い状況にあることを受け、「市場開設者として幅広い投資者層の取引機会を拡大する観点」から、取引時間の延長を決定していた。昼休みが相変わらず確保されていることなど問題点も指摘されていたものの、有益な「第一歩」としてその実施を期待されていた。
しかしながら東日本大地震とその震災に伴う昨今の電力需給の綱渡り的な状況を受け、少しでも電力需要の増加となりうるアクションは避けたいとの判断から、「証券業界全体として節電に取り組んでいく一環として」、取引時間の一部見直しの実施を延期することとなった。これは「取引時間を延長するとその分東証、証券会社、個人投資家の電力消費が増える」との考えによる。
なお「現物市場における売買停止時間の短縮(現行30分を15分)」「特別気配更新時間の短縮(現行5分を3分)」「国債証券先物オプション取引における権利行使価格の拡充(現行1円刻みとなっている期先限月の権利行使価格を50銭刻みとする)については、電力消費には影響を与えないとの判断から、当初の予定通り2011年5月9日から実施される。
東証側では「節電のために延長を延期」と説明しているが、この理由に寄るのなら、暖房で電力需要がひっ迫する冬季にも配慮をする可能性がある。場合によっては取引時間の延長は来年まで繰り延べになりそうだ。
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