角川とドワンゴ、資本提携…ニコ動のシステム強化、川上氏の角川社外取締役就任など関係強化へ
2011/05/27 06:32
【角川グループホールディングス(9477)】と【ドワンゴ(3715)】は2011年5月26日、両社の株式の持ち合いによる資本提携を行うと共に、昨年10月に締結した業務提携内容をさらに確実に推進していくことを確認した。また角川側には社外取締役として、ドワンゴの現代表取締役会長である川上量生氏が就任予定であることも合わせて発表されている(【角川側発表リリース一覧ページ】)。
角川・ドワンゴ両社は2010年10月28日に【角川グループとドワンゴが電子書籍や各種コンテンツの配信に関して業務提携(PDF)】にあるように、角川側が持つ電子書籍や各種コンテンツを「ニコニコ動画」などドワンゴが持つ各種プラットフォームに配信すべく業務提携を行っている。具体的には今件リリースにあるように、
・角川グループの電子書籍プラットフォーム「BOOK☆WALKER」と「ニコニコ動画」で新たに提供される電子書籍ビューワ「ニコニコビューワ」の連携
・角川グループのコンテンツを配信する公式チャンネルを「ニコニコ動画」内に設置
・その他イベントの共同実施や関連コンテンツの配信
・角川グループのコンテンツを配信する公式チャンネルを「ニコニコ動画」内に設置
・その他イベントの共同実施や関連コンテンツの配信
の3点での協力体制が提携によって模索されている。
今回の資本提携は、これらの業務提携を確実にし、さらに両社間で安定した信頼関係を構築するための提携としている。
具体的には
・角川側
自社株73万株をドワンゴに割り当てる(約17億円分)
・ドワンゴ
自社株1万0749株及び新規発行株式6051株を角川に割り当てる(計約30億円分)
自社株73万株をドワンゴに割り当てる(約17億円分)
・ドワンゴ
自社株1万0749株及び新規発行株式6051株を角川に割り当てる(計約30億円分)
という株式の割り当てが行われる。なおドワンゴ側が調達した資金は、角川側が割り当てた株式の取得代金の他に、今件資本提携で再確認された業務提携内容の強化、具体的には「ニコニコ動画」のサービスのうち「ニコニコビューワー」(電子書籍ビューワー)と角川書籍プラットフォームとの連携システム開発、「ニコニコ動画内」の角川チャンネル設置費用、その他共同イベント関連費用、「ニコニコ生放送」の番組やコンテンツ制作・運用資金などに充てられる。
つまり金銭的な流れとしては「ドワンゴが角川への新株発行と自社株割り当てで角川から約30億円調達」「ドワンゴはそのうち約17億円で角川の株式取得」「ドワンゴは残りの約13億円で角川とドワンゴのニコニコ動画における業務提携部分のシステム強化・開発」。言い換えれば「角川とドワンゴ双方で相手企業の株式持ち合い」と「角川がドワンゴに、両社の業務提携の根幹となるニコニコ動画の各種システム強化・開発のため、約13億円の資金提供」が実施された形に。そして今回の資本提携により、角川はドワンゴの第3位大株主(8.23%)、ドワンゴは角川の第9位大株主(2.68%)となる。
さらに今件の資本提携に際し、冒頭で触れたようにドワンゴの現会長である川上量生氏が角川の社外取締役として就任する。
コンテンツを大量に保有し、その配信先を一つでも多く持ちたい角川と、コンテンツを配信するツール(ニコニコ動画など)を持ち一つでも多くのコンテンツを配したい・システムの強化を図りその特性をさらに強化したいドワンゴ。今回の資本提携は両社の思惑の合致による業務提携を、一層強いものとするためのものといえる。同時に、事実上角川がドワンゴに対しシステム強化の資金提供を行った形となっていることからも明らかなように、今後さらなる業務面などの提携関係を強化、ゆるやかな形でのグループ化という展開もまったく考えられないわけではないだろう。
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