「放射性物質 97%除去な浄水器」「核シェルター販売の会社社債」…不審な勧誘増加中・国民生活センターなどが注意喚起

2011/07/26 06:58


胡散臭い広告国民生活センターは2011年7月21日、震災に関連した「放射能」に絡む相談が、発表時点で全国の消費生活相談窓口に2140件寄せられていることを挙げると共に、これまで主に報告されていた「野菜、お茶等の食品や水の安全性に関する相談」以外に、「体内被ばくに効果がある」「放射性物質を完璧に除去可能」「チェルノブイリ原発事故の際に使われた商品」などとして放射性物質への不安を抱く消費者の心理状態を悪用する商法・広告・勧誘が増えてきたとし、注意を呼び掛けている(【発表リリース】)。



リリースによれば「放射能」周りの相談案件は時間の経過と共に店舗販売スタイルが減り、通信販売によるものが比率としては増加している。直近の5月11日-6月10日では相談要件の半数近くを「通信販売」が占め、上位項目にも放射線測定器やマスクなどを含む「保健衛生品その他」や「浄水器」が確認できる。

↑ 時期別にみた販売購入形態
↑ 時期別にみた販売購入形態

↑ 時期別にみた上位商品(一部)
↑ 時期別にみた上位商品(一部)

相談件数の地域分布では南関東(埼玉・千葉・東京・神奈川)が全体の約半数47%を占めており、人口の密集地帯(=効率が良い)かつ今般案件に敏感な場所を被疑者・容疑者らが狙いを定めているようすがうかがえる。また該当案件で不安を強く抱いている人が多い福島県では、今件状況に対し7月13日の時点で「放射性物質を除去できるエアコン」「核シェルター販売の会社の社債購入を勧める電話」など【具体的相談事例(PDF)】を公知している。

リリースでは具体的・特徴的事例を掲載しているが、そのうち販売スタイルと題名、一部の具体的要件を次に例示する。

■通信販売
・放射性物質を完璧に除去するとうたう浄水器
・放射性物質を除去するとうたう健康食品
・一方的にファックスで届いた放射線測定器の広告
[例]自宅に、突然「震災対象地域限定価格(約5万円)で小型放射線測定器を販売します」という内容の広告がファックスで届いた。見知らぬ業者なので、一方的にファックス広告が届いたのは、不審である。

・商品も送らず返金もしない通信販売業者
[例]インターネットで、放射線測定器の専門店というサイトを見つけた。販売しているところが少ない時期だったが、「緊急入荷した」とあったので注文したところ、業者から前払いで約7万円を振り込むようにというメールが届いた。商品代金を振り込み、商品の到着を待っていたが、1カ月経っても商品が届かなかった。不審に思っていたところ、業者から「輸入した商品を検品したら、重大な欠陥が見つかったので、解約させてほしい。当方のミスなので返金する。振込先を教えてほしい」というメールが来た。仕方ないと思い、業者に振込先を伝えた。その後、約1カ月が経とうとしているが未だに返金されない。

・フィッシング詐欺が疑われるネットショップ

■訪問販売
・放射性物質を吸着除去するという温浴器
・市役所から来たという人から説明された放射性物質の侵入防止用換気扇フィルター
[例]自分が出かけている時、作業着を着た男性が二人で来訪した。妻が対応したが、「市役所が放射能検査をしている。換気扇にフィルターをつけないと放射性物質が入ってくる。放射能を測定する」等と言われ、家に入れたようだ。測定している最中に、自分が帰宅して不審に思い「市役所に確認する」と言ったところ、急いで帰ってしまった。

■マルチ取引
・放射能汚染を防ぐと説明された栄養ゼリー

これらの事例を挙げた上でセンター側では「データが示されていない、検証そのものがあいまいモノが多い」「薬事法などの各種法令違反要件が見られる」「インターネット通販特有のトラブルが多発」「高齢者への訪問による高額商品契約事例がみられる」など、通常の詐称行為手法を悪用し、昨今の状況に便乗したものであると解説。その上で消費者へのアドバイスとして、

・放射性物質の除去等をうたう広告や勧誘をうのみにしない
・通信販売を利用して生じたトラブルは、販売業者と連絡が取れなくなる等、解決しにくいので、特に前払いをする場合には慎重に検討する
・フィッシング詐欺と疑われるショッピングサイトの相談も寄せられているので、特にクレジットカード情報は慎重に扱う
・「放射線量を測定する」等と言われても、簡単に家に入れたり、慌てて契約をしない

の具体的4項目を挙げ、注意を促している。

井戸端会議以前【「節電」をかたる詐欺や窃盗に注意・電力各社が注意勧告】でも伝えたが、大規模な災害やインフラの不安定化に伴い発生する人心の不安定化、不安感の高まりに乗じて、今件例示されたような詐称行為を働いたり、社会の秩序を脅かすような行動に人々を加担させようとする、悪しき心を持つ人たちが暗躍する事例が見受けられる。またセンター側では公知していないものの、インターネット上でも悪質、あるいは実害が危惧される噂話・疑似療法を広めている事例が確認できる(民間療法全体を揶揄しているのではなく、悪質な便乗、あるいは有害なものの公知に対する指摘であることに注意)。

全員に突然「心理的に強くなれ」とするのは無理としても、「騙(だま)されそうな事例でほんろうされずにウソを見破る方法」を身につけて対応するのは低いハードルなので、多くの人がクリアできる。「ここだけの話」「海外からの直輸入ルートのものなので国内にはまだ広まっていない」「軍の機密ルートからの特別入荷」、さらには「インターネットのホームページや動画で勧めていた」「●×教授が言及しているように」など、それらしいあおり文句で「常識」という防護壁突破を試みる者もいるが、センター側のアドバイスに従い、各関連公的機関へ、それすら躊躇する場合でも既知の人に相談するという慣習を身につけてほしいものだ。


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