船の科学館の「羊蹄丸」、無料引き受け先を公募開始

2011/07/30 19:30


「羊蹄丸」船の科学館は2011年7月29日までに、同館が同年9月30日で展示休止になるのに伴い、保存・公開を終了する青函連絡船「羊蹄丸」について、無償譲渡先(引受先)の公募を行うと発表した。譲渡価格は無償。ただし、現在地からの移動に係る費用をはじめ、引渡し後に発生する費用は譲渡先の負担となる。同年8月31日午後5時までが仮申し込みの締め切り(【発表リリース】)。





↑ 「羊蹄丸」外観と内部展示物など
↑ 「羊蹄丸」外観と内部展示物など

「船の科学館」は1974年7月20日、「海の記念日」に開館した、東京都品川区の東京臨海副都心にある博物館。名前の通り船舶や海運、さらには海洋開発関連の歴史や物品を収録展示する、海洋博物館として知られている。これまで37年間に渡り1800万人(延べ人数)を超える来館客を迎えてきた。

本館部分は6万トン級の大型客船「クイーン・エリザベス2号」をモチーフにした形をしており、6階建てで内部構造も実船の構造に合わせた構成となっている (例えば最下層は機関関連の展示など)。しかしこの本館も時の経過と共に、施設そのものや内部展示物の老朽化が進行。今回次世代への海洋教育拠点へのリニューアル準備のため、今年の9月30日で本館展示を休止することが決まった。

そして本館の閉館に伴い、1965年から1988年まで青函航路に就航していた連絡船「羊蹄丸」については、先の記事でお伝えした通り、保存・展示を終了することになった。


↑ 羊蹄丸。
↑ 羊蹄丸。【直接リンクはこちら】

第一報をお伝えした際には「今後の動向に関する記載は無い」「(今後については)まったくの白紙」「新たな保存場所などが決まらない場合は、売却される可能性もある」ということだったが、今回の公式発表により「無償譲渡」「譲渡先が無ければ解体・解撤を行う(一部報道では「展示可能な部品や機器などを保存」ともある)」ことが確認された。

無償譲渡に関する条件は次の通り。

■譲渡価格……無償。ただし各種輸送費用、引き渡し後に発生する費用は受け取り側負担。
■引き渡し……引渡し時点での現状渡しとなり、引渡し日時等は譲渡決定時に協議し、譲渡契約書を取交し決定する。
■申し込み……9月30日15時までに「羊蹄丸譲渡申込書」に「事業計画書」を添えて提出。事前に仮申し込みが必要で、その締切は8月31日17時まで。
■譲渡条件……日本国内の法人限定。羊蹄丸を現状地点から移送するのが条件(現在の場所での活用は不可)

現在羊蹄丸内に展示されている各展示物についてはリリースに明確な言及が無いものの、9月30日まで展示を続けていること、「引渡し時点での現状渡し」という表記があることから、各種展示物込みと解釈することもできる(引き受けに興味・資力のある人は、ご自身で問い合わせ先の「船の科学館 学芸部 将来計画課(電話 03-5500-1117)」まで連絡を入れ、確かめてほしい)

現状における羊蹄丸の維持費は年間約3000万円(一部報道による)。リリースでは羊蹄丸への措置について「民間の財団にてこれ以上こうした大型の船舶を将来にわたって所有・管理し公開を続けることは資金面で困難との判断」と説明しており、予算繰りがつかなかったのが一因としている。

維持費はもちろんだが、どのような活用ができるのか、どの場所になら配せるのかなど思案のしどころは多い。条件に合致するような、そして羊蹄丸を活かせる引受先が現れ、新しい歴史を刻んでほしいものだ。



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