日産リーフから家庭へ電力供給の仕組み公開・2011年度の販売開始を目指す

2011/08/03 06:35


日産リーフ【日産自動車(7201)】は2011年8月2日、ゼロエミッション(環境への負荷をゼロにするという理想論的な目標)社会の実現に向けた包括的な取り組みの一環として、日産リーフに搭載している駆動用のリチウムイオンバッテリーから、一般住宅へ電力供給するシステムを、日産のグローバル本社前に建設された積水ハウス「観環居」にて公開した。日産では早期にシステムの開発や系統電力との連携方法などについての検討を実施し、開発・販売に関心を持つ幅広いパートナー企業と連携しながら、2011年度内の販売開始を目指していくと説明している(【発表リリース】)。




↑ 日産リーフから住宅への電力供給デモ(公式動画)。
↑ 日産リーフから住宅への電力供給デモ(公式動画)。【直接リンクはこちら】

今回発表されたシステムは、一般住宅の分電盤に直接接続し、コネクターを日産リーフの急速充電ポートへつなぐことで、日産リーフに搭載している駆動用の大容量リチウムイオンバッテリーに蓄えた電気を住宅へ供給することを可能とするもの。また、コネクターはグローバルに使用実績があり、汎用性や安全性、信頼性の高いCHAdeMO協議会の急速充電器プロトコルに対応している。

本システムを使用することで、停電時や電力が不足する時間帯などに備え、日産リーフの駆動用リチウムイオンバッテリーを家庭用の蓄電池として活用することが可能となる(いわゆる「電源車両」扱いができる)。また、本バッテリーの蓄電能力は24kWhと大容量のため、一般家庭の約2日分の日常使用電力を賄うことができる。

さらに、夜間電力や再生可能エネルギーの太陽光で発電した電力を使って日産リーフに充電し、蓄えた電気を日中の電力需要が高まる時間帯に使用することにより、家庭への安定した電力供給やピークカット(世間一般に電力使用量が増える平日昼間に、電力使用を控えることで電力需給のひっ迫状態解消に貢献すること)の効果も期待できる。なお本システムは車両から電力を供給するだけではなく、車両への充電も行うことが可能で、現在日産リーフに搭乗しているいる人も使用することができる(別途 電力供給プログラムへの対応が必要)。

【三菱自動車の電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」に、エントリークラス「M」など2種類が新たに登場】などでも触れているが、東日本大地震・震災をきっかけに、電気自動車を家庭用の小型電源車両として使う仕組みへの需要が急増しており、今回のリーフでのシステム公開・早期販売の意志発表は、それを踏まえてのものと思われる。「電気自動車は車内に溜めた電気を消費しながら走る、『稼働乾電池』のようなもの。ならば(移動した先で)溜めている電気を、外に流すことは出来ないのか」という考えは、シンプルだがニーズが高まるのも当然といえる。移動させなくても自宅内で充電・放電をすることで、本来の移動機関としての自動車の役割以外に、蓄電池的な役割を電気自動車に持たせることが可能となる(もちろんその分稼働時間は増加するので、メンテナンスの頻度も上がるが)。

利用スタイルからマンションなどの集合住宅での活用は難しいが、今回の日産リーフや先の三菱i-MiEV(アイ・ミーブ)のような「蓄電機としても使える電気自動車」が広まれば、人と自動車との関係は住宅を巻きこんだ形で、新たな姿を見せるようになるかもしれない。



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