東北電力、東京電力から追加で50万kWの電力融通…豪雨で水力発電所の被害による供給減が原因

2011/08/07 07:38


融通[東京電力(9501)]と【東北電力(9506)】は2011年8月6日、東京電力が東北電力に対し、同年8月4日13時から6日22時までの間、30万kWの電力融通(応援融通、電力の供給力を融通する事)を実施、さらに追加で6日10時から17日までの間に50万kWの追加電力融通を行ったことを発表した。結果として6日10時から17日までの間、東京電力から東北電力に、最大で80万kWの電力融通が行われたことになる。東北電力側では供給力不足について、昨今の震災被害の立ち遅れに加え、【東電、8月6日以降の電力需給予想を変更・直近週の予想最大需要は4440万kW】などでも触れているように先日の豪雨で水力発電所が被害を受け、供給力が減少していることを理由として挙げている(【東電側発表リリース】【東北電側発表リリース】)。



↑ 8月6日早朝時点の東京電力管轄における需給見通し。「今朝時点の供給力」は「最大供給力」ではないこと、すでに決まっていた30万kW分の融通電力は折り込み済みであることに注意
↑ 8月6日早朝時点の東京電力管轄における需給見通し。「今朝時点の供給力」は「最大供給力」ではないこと、すでに決まっていた30万kW分の融通電力は折り込み済みであることに注意

東北電力管轄では先般の豪雨で、新潟県・福島県の水力発電所が被害を受け、6日時点で「第二沼沢発電所……45万kW」分をはじめ、合計で29か所が発電できない状態にあり、電力供給力は約100万kWほど減少している状態にある。東北電力側では状況の確認と調査、復旧作業を行っているが、現時点で具体的な復旧時期は未定。


↑ 豪雨で水力発電が停止したことを伝えるニュース映像。
↑ 豪雨で水力発電が停止したことを伝えるニュース映像。【直接リンクはこちら】

4日の時点で東北電力側では東京電力側から30万kWの融通電力を受けていたが、【東北電力、先日の大雨で水力発電出力低下、供給余力2.31%にまで低下】にもあるように供給力がギリギリの状態にあること、さらに気温の上昇で電力需要の上昇が予想されることから、6日に追加で50万kWの融通電力を受けることになった。元々東京電力側では東北電力の需給のひっ迫度の高さなどを鑑み、最大で140万kWの融通電力を行うことを決めており、今回はその事前決定に従ったまでの話ということになる。これにより東北電力管轄の6日の最大電力供給力は1158万kWから1208万kWとなった。

↑ 2011年8月6日における東北電力管轄での電力需給(時間単位、万kW)
↑ 2011年8月6日における東北電力管轄での電力需給(時間単位、万kW)

今回は豪雨による水力発電所の供給力減というイレギュラー的な要素に寄るところが大きいが、同時にすべての発電スタイルの発電所で「突発的事象による供給力の低下や停止が容易に起きうる」ことを示す実例ともいえる。リリースからかいま見れる関係者のやりくりや、供給力確保・復旧のために全力を尽くしている人達の努力には、頭が下がるばかり。同時に今件がたまたま土曜日で、企業の電力使用量が少なめであった幸運(不幸中の幸い)にも感謝せねばなるまい。




スポンサードリンク



▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー