カブドットコム証券、私設取引システム(PTS)を10月末で終了

2011/09/13 06:36


終了カブドットコム証券は2011年9月12日、同社が展開している私設取引システム(PTS、サービス名は「kabu.comPTS」)について、運営業務を同年10月31日付で終了すると発表した。終了理由について同証券側では「取引金額が限定的な水準に留まり、事業としては不採算状態が続いていた」「東証のシステム変更でPTSの意義が薄れてきた」などを挙げている(【発表リリース】)。



↑ 約定数・注文件数も低迷していた。
【kabu.comPTSレポート】より。約定数・注文件数も低迷していた。

同社では2006年9月、日本国内としては初めて金融商品取引所と同様の競売買(オークション)方式を採用したPTS業務の運営を開始。PTSは、東京証券取引所に代表される既存の金融商品取引所を補完する代替市場として、個人投資家への最良執行機会の提供や株式の流動性の拡大といった役割を期待されていた。同社のPTSは既存取引所の補完機能を果たすべく、当初は夜間取引に限定して業務を開始、その後、早朝から深夜までへの取引時間の拡大、小数点等の独自の呼値の刻みの提供、および高速取引を可能とするシステムの導入など、さまざまな施策に取り組んできた(【カブドットコムのPTS取引時間、3月からは8時20分-23時59分までに延長】)。

しかし業務運営開始以降、PTSを取り巻く環境は大きく変化。2010年1月に稼働を開始した東京証券取引所の次世代売買システム arrowhead(アローヘッド)において取引執行スピードの高速化が図られるなど、日本において代替市場としてのPTSの意義は薄れてしまう。また、同社PTSの取引金額は限定的な水準にとどまり、事業としては不採算の状態が続いていた。

同社ではPTSの業務終了後、PTS運用で取得したノウハウを活かし、売買システム基盤の更なる拡充や、機関投資家と同等な取引環境の個人投資家への提供など、システム基盤を活用した施策をおこなうとしている。なお今回の業務終了で該当第2四半期に2.6億円ほどの特別損失が計上されるが、PTSの運用コストが約6000万円/月であること、償却期限の到来により関連するシステム資産の減価償却費の自然減に伴う該当コストが無くなることなど、財務上の負担は大きく軽減。同社の説明では本年度上記と比べて下期は営業利益を3億円ほど底上げする効果を見込んでいるとのこと。

これと前後して松井証券でも【PTSによる「即時決済取引」終了および各種書面改定・新設のお知らせ】などの動きを見せている。東京市場の取引低迷や東京証券取引所の次世代売買システム arrowhead(アローヘッド)などは、かつて各社が競い合うように導入していたPTSシステムの動向にも、大きな影響を与えたようである。



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