東京電力、今夏の電力需給状況を報告
2011/09/27 07:28


↑ 夏期最大電力発生日・時における節電効果試算(万kW)
今夏期(7-8月)は先の東日本大地震・震災に伴う電力供給量の減退により、電力供給不足が懸念され7月1日から9月頭にかけて、法令を裏付けとする「電力使用制限令」が発令されると共に、民間でも大規模な節電啓蒙活動が行われた。その結果、今夏期における最大電力需給が記録された8月18日・14-15時では電力需給は4922万kWに留まり、昨年の最大電力需給時の5999万kWを約1000万kW下回る結果となった。
大口電力の節電効果が大きいのは法令による節電対策に加え、冒頭でも触れたように「休日シフト」を施行した企業が多数存在したため。また家庭用が「最大電力発生時」で節電効果が小さめだったのは、気温が高く冷房設備を多用した結果によるもの。
なお気温と電力需給は比例に近い関係にあり、一般的に「夏期では」高温になるほど最大電力も増加する傾向にある。

↑ 東京電力管轄最大電力と東京の最高気温(当方にて作成)
一方、電力「量」で見た場合、今夏期においては大口・小口(契約電力500kW未満)・家庭用共に昨年比2ケタに達する節電率を達成しており、(昨年が猛暑だったとはいえ)各方面での節電努力が数字に表れた形となっている。

↑ 販売電力「量」対前年比実績(減少分)(東京電力管轄)
もちろん節電という需要側の努力だけでなく、減退した供給量の回復・確保の対策も忘れてはならない。震災発生以降夏期の需要増加に備え、被災発電所の復旧作業をはじめ(【超人的な回復・復興力、火力発電所復旧の数々】)、大量の緊急設置電源の設置(【リアル・ヤシマ作戦、あるいはゴジラ迎撃戦のような...東電の緊急電源配置状況】)、コストパフォーマンス上の問題や経年化などから長期計画停止をしていた火力発電所の運転再開など、さまざまな手を打ち、1930万kWもの供給力を確保している。

↑ 今夏に向けた供給力確保のための施策(設備量、万kW)(東京電力管轄分)
今夏は幸いにも先日の隣国のような大規模かつ不意の停電に見舞われることは無かったが、それも上記にあるような需給共に身を削っての努力によるもの他ならない。そしてそれは従来、「インフラの利用」という観点ではあり得ない非常事態におけるもの。そのような努力をしなくても済むような、「安定した」「十分な供給力」の電力供給体制の整備が求められることになることは、いうまでも無い。
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