船の科学館の「羊蹄丸」、愛媛が引き受け…公開の後、解体へ
2011/11/10 06:29


↑ 「羊蹄丸」外観
「船の科学館」は1974年7月20日、「海の記念日」に開館した、東京都品川区の東京臨海副都心にある博物館。名前の通り船舶や海運、さらには海洋開発関連の歴史や物品を収録展示する、海洋博物館として知られている。これまで37年間に渡り1800万人(延べ人数)を超える来館客を迎えてきた。
本館部分は6万トン級の大型客船「クイーン・エリザベス2号」をモチーフにした形をしており、6階建てで内部構造も実船の構造に合わせた構成となっている 。しかしこの本館も時の経過と共に、施設そのものや内部展示物の老朽化が進行。次世代への海洋教育拠点へのリニューアル準備のため、今年の9月30日で本館展示を休止。

↑ 「船の科学館・羊蹄丸」の公開展示最終日を伝えるスライドショー的映像。【直接リンクはこちら】
そして本館の閉館に伴い、1965年から1988年まで青函航路に就航していた連絡船「羊蹄丸」についても、保存・展示を終了。「無償譲渡」「譲渡先が無ければ解体・解撤を行う(一部報道では「展示可能な部品や機器などを保存」ともある)」との正式発表と共に、譲渡先に関する公募が行われていた。
発表によれば今回公募された11件には、選定・採用された案件以外にも日本国内だけでなく、中国、ベトナム、バングラディッシュなどでの活用案もあった。それぞれ直接ヒアリングした上、資金計画、曳航計画、事業の実現性などを勘案して総合的な評価をした結果、愛媛県の産学官連携組織「えひめ東予シップリサイクル研究会」の計画「新居浜東港で一定期間一般公開した上で、『シップリサイクル条約』に基づく『先進国型シップリサイクルシステム』の実証実験用素材として、実際に解体を行いながら研究・開発を行う」を採用することになった。今後の「羊蹄丸」にかかわる詳細、スケジュールなどについては、後日改めて公知が行われることになる。
選定採用理由に「新居浜東港で一般公開し、その後解撤するという計画ではあるが」という表記が用いられているところから、解体が前提の今計画には複雑な心境があったことがうかがえる。一方で同事業には「事業内容を高く評価した」との表現から、実現可能性の高さもあわせ意義のある内容と判断したことも確認できる。
最終的な解体が決定したことは忍び難い面もあるが、船舶周りの研究開発への貢献という、意義ある使われ方をされるのなら、それも本望かもしれない。
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