海外からの「当選金獲得。つきましては…」にご注意を

2011/11/14 12:00


詐欺の申込用紙国民生活センターは2011年11月8日、海外から届く「海外宝くじ」の手数料詐欺に関する警告を発表した。当選金を受領するための手数料を請求し、応じた人物に当選金そのものは支払わず、幾度となく同様の請求をすることで少額の手数料詐取を繰り返す事例。一時期減少していたものの、昨今再び増加する傾向にあるとのこと。センター側では「海外の宝くじを日本国内で”買うだけ”でも違法」とした上で、この類の手紙には応じないよう警告している(【発表リリース】)。



今件は「降ってわいたような大金を入手する権利が与えられた(例えば宝くじの当選)」という「幸運な人物である」との誤解を相手に与えた上で、少額の「手数料」を請求。連絡を受けた側が「自分はラッキーなんだ」と有頂天になり、「大金が手に入るのなら少しくらいの額を払っても……」と妥協してしまう、「欲にくらむ人の心理」をついたもの。

リリースで掲載された具体例は次の通り。

海外から「宝くじの当選金を受け取る権利がある」というような主旨の手紙が届いたので、当選金をもらうために必要だという5000円分の定額小為替を返信用封筒に入れて送った。

すると、いろいろな国から同様の手紙が大量に届くようになった。どれも1週間以内に返送しないと権利を失うなどと書いてあるので期日内に送金してきたが、まがい物のネックレスや腕時計は届くものの当選金は一度も振り込まれたことがない。

今まで総額500万円以上は送金したと思う。最近は生活費が足りなくなり、別居の息子に相談したら、だまされていると言われた。(80歳代 男性)

「判断力が衰え気味、かつ、まとまった金額を持っている可能性が高いお年寄りがターゲット」「一度『だますことができる』と判断されると、続々と同じ手が繰り返される(同一グループ、さらには「同業」他グループにも情報が伝えられ利用されている可能性もある)」「まったく無反応では『だまされた』と早く気づかれるため、価値の無いガラクタを送りつけて『もしかしたら次こそは』と相手を釣る」など、他の詐欺行為と根本部分は変わりない。

詐欺の申込用紙に書き込むお年寄り特に最後の「価値の無いものを送りつける」はポイントで、【惜しい負け 脳は「勝った」と誤解して 「次は次は」と ドツボにはまる】【ギャンブル依存症の傾向とその対策】でも指摘しているギャンブルの依存症同様、「次こそは大金が送られてくる」と誤認させ、被害者を引きとめ、同じ過ちを繰り返させる「心の縛り」となってしまう。

リリースで言及しているように、「海外の宝くじは日本国内で買うだけでも違法」であり、そのような誘いをしてきた時点で、その手紙の内容はアウト。中には「海外の宝くじを購入すると違法だといわれているが、これは宝くじではないので法律には触れません」と、逆に自らの信ぴょう性を高めようと画策する手口もある。また発信元(送り元の住所、または詐取側グループの所在)は日本に限らず、むしろ「海外の宝くじ」であることの信ぴょう性を高めるため、オーストラリアやドイツ、香港、カナダ、そして中国からであることが多い。

なおリリースには記述されていないが、同様の手法は電子メールでも盛んに行われている。スパメール対策が施されていればほとんどが読まれる前に自動削除され、さらに多くは英語での文章なため、(信ぴょう性が高いように誤認される物理的な手紙とは違い)、心配はさほど要らない。しかし文面の手口としては「アラブの某国の第何皇子で日本の恩人に送金したいが、そのための口座が必要なので云々」「イギリスのお金持ちの家で働いていた家政婦がその家の資産を相続した。日本に移住を考えているが、貴方に協力して欲しい。ついては移住先準備の整備資金を振り込む口座を創る手数料を云々」など、まさに宝くじ同様「降ってわいた幸運」を多種多様なパターンで創作し、誘惑してくる。

自分自身はもちろんのこと、身の回りに該当しうる人(インターネットの初心者、特に高齢者)が居たら、くれぐれも注意を払って欲しいものである。



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