「個人名義の銀行口座には前払いをしない」ネット通販で国民生活センターが注意喚起

2013/12/22 10:00


独立行政法人国民生活センターは2013年12月19日、インターネットで申し込みをする通信販売(ネット通販)において、前払いをした場合のトラブル相談件数が急増しているとして、注意喚起を行った。前払いの場合は事後被害救済が難しいことから、同センターでは「個人名義の銀行口座には前払いをしない」よう注意を呼び掛けている(【発表リリース: 「インターネット通販の前払いによるトラブル」が急増!-個人名義の銀行口座への前払いはしない-】)。



↑ ネット通販の前払いに関する相談件数推移(PIO-NET)
↑ ネット通販の前払いに関する相談件数推移(PIO-NET)

↑ ネット通販相談件数・前年度比(2013年度は前年度同期比)
↑ ネット通販相談件数・前年度比(2013年度は前年度同期比)

インターネットの普及、特に昨今ではタブレット機やスマートフォンの利用者増加に伴い、ネット通販の利用者も増えている。それと共にトラブルも増加の一途をたどっているが、特に前払いをした場合の問題が多発している。前払いの場合は代金が既に業者側にあり、何か問題が発生した場合、業者が応じない限りは金銭的な救済がなされない。さらにネット通販では業者の実態がつかみにくく、所在不明・連絡不可能な事例も多々ある。

PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に寄せられたネット通販に関する相談件数は累乗的に増加の傾向にあるが、中でも前払いに関わる相談は急増。2013年度は11月末時点で前年度同時期比でプラス512.5%という膨大な数の増加を示している。

具体的な事例としては「商品が届かない」(安いので注文した、他のサイトでは売っていないので注文した)、「注文したものではないのが届いた」(コピー商品が届いた、まったく違うものが届いた、違う商品が届いたのにそのまま使うよう言われた)、「前払いするように誘導された」(クレカ払いも出来るとしていたが実際はできなかった、代引き注文のはずが注文後に前払いするよう指示された)、「サイトそのものが偽サイトだった」「銀行口座が凍結されていた」などが挙げられる。

利用状況とその特徴についてセンター側では「アクセスのきっかけは商品検索やブランド名検索である」「申し込んだ理由は安いから、欲しい商品が売っていたから」「サイトや連絡メールの日本がおかしいものも多い。特に『会社概要』欄に注目」「振り込み先の銀行はネット専用銀行と都市銀行が多い」「口座名義は個人名が多い、その多数は外国人名、中でも中国系・韓国系のもの」などを挙げ、ある程度のパターン化が見受けられるとしている。

↑ 相談内容に合致するキーワード上位(2013年度11月末まで、マルチカウント)
↑ 相談内容に合致するキーワード上位(2013年度11月末まで、マルチカウント)

↑ 相談内容対象商品件数(2013年度11月末まで、上位のみ)
↑ 相談内容対象商品件数(2013年度11月末まで、上位のみ)

各種データから見るに、今年度に入ってからは特に、口座凍結までの時間稼ぎをしながら、法律で定められた表記もせずに足が付かないような場から、正しい商品を送るつもりが無いにも関わらず一斉にスパム的な公知活動を行って注文を受け付けて前払いで振り込ませ、逃走するのが目的の事例が増加している感はある。相談対象商品に履物やかばん、他の身の回り品など女性向け商品が多いことから、スマートフォンの普及でネット通販をし始めた、ネット経歴が浅めの女性をターゲットとし、スパム的にメールを送りつけたり、悪質な検索エンジン対策を行って検索上で上位表示をさせて利用者へのアプローチを狙う手法を繰り返しているようだ。

センター側では今件の注意喚起の中で、消費者側へネット通販、特に前払いでの購入に際し、「代金前払いのリスクの大きさを認識しておく」「個人名義の銀行口座に前払いしない」「振り込んでしまい問題が発生した場合は銀行と警察に相談する」「不安なこと、分からないことがあれば消費生活センターに相談する」などを挙げている。特にネット利用経歴が浅い人は、ネット上に表記されている事柄、展開している店舗はすべて正しい・正当なものという誤解をしてしまうところがある。くれぐれも注意してほしい。


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