【更新】東京消防庁、高齢者などのお餅(もち)窒息事故に対し注意喚起
2012/01/02 12:00

今件は2011年中の公開のため2011年分の統計データは反映されていないものの、2006年-2010年における過去5年間の値を元に、「餅」及びそれに類する「団子」「大福」などが喉に詰まったことによる窒息事故について解説している。過去5年間においては毎年100人以上がこの窒息事故で救急車によって医療施設に運び込まれているが、多くは12月から翌年1月に集中しており、年末年始のお餅料理(磯辺焼き、お雑煮、餡子餅など)に起因していることがうかがえる。

↑ 東京都における、餅などに起因した窒息事故による救急搬送人員(人)

↑ 東京都における、餅などに起因した窒息事故による救急搬送人員(人)(2006-2010年累計、月別)
なおグラフは略するが、この搬送者のうち7割前後は「中等症(生命の危険は無いが要入院)」以上で占められており、搬送時の状況が比較的深刻であること、そして搬送人数・症状の度合いは毎年の周知啓蒙活動にも関わらず、共に横ばい状態にある事が分かる。
また冒頭で触れた通り、窒息事故による搬送者の大半は60歳代以上の高齢者で、2006-2010年に限れば全搬送者の9割以上に達している。

↑ 東京都における、餅などに起因した窒息事故による救急搬送人員(人)(2006-2010年累計、世代別)

↑ 東京都における、餅などに起因した窒息事故による救急搬送人員(人)(2006-2010年累計、世代別、各世代10万人あたり)
最後のグラフでは、特に高齢になるほど搬送リスクが高まる現状が見て取れる。90歳以上の「82.6人/10万人」ですら、比率換算すると「0.0825%」であり、「その程度でしかないのか」と考える人もいるかもしれない。しかし見方を変えれば、「50代までと比べて喉に餅を詰まらせることで救急車に運ばれるリスクは100倍以上」であり、とてつもなくハイリスクであることが分かる(50代までを仮に0.5とした場合、70代ですら33.8倍という計算になる)。
東京消防庁では高齢者、そして乳幼児の窒息事故が多い理由について「個人差がある」としながらも、
・乳幼児……主に臼歯がなく食べ物を噛んですりつぶすことができないことや、食べながら遊んだりする傾向にあるため、窒息事故が発生しやすい。
・高齢者……一般的に、かむ力や飲み込む力が弱くなり、だ液の分泌量も減少し、食物が詰まりかけた時に咳をする反応が弱いなどの理由により窒息事故が発生しやすくなる。
・高齢者……一般的に、かむ力や飲み込む力が弱くなり、だ液の分泌量も減少し、食物が詰まりかけた時に咳をする反応が弱いなどの理由により窒息事故が発生しやすくなる。
と説明すると共に、餅をはじめとした窒息事故を防ぐための五か条として、
・食品を小さく切るなど、食べやすい大きさにする。
・急いで飲み込まず、ゆっくりとよくかみ砕いてから飲み込む。
・食事の際は、お茶や水などを飲んで喉を湿らせる。
・食事中は遊ばない、歩きまわらない、寝ころばない。
・高齢者や介護を要する方は、粥などの流動食に近い食物でも窒息を起こすことがあるため食事の際は目を離さない。
・急いで飲み込まず、ゆっくりとよくかみ砕いてから飲み込む。
・食事の際は、お茶や水などを飲んで喉を湿らせる。
・食事中は遊ばない、歩きまわらない、寝ころばない。
・高齢者や介護を要する方は、粥などの流動食に近い食物でも窒息を起こすことがあるため食事の際は目を離さない。
などを挙げている。今件では特に高齢者の餅問題を提起しているが、【高齢者がいる世帯の構成割合をグラフ化してみる(2010年分反映版)】などにもあるように、今後は一人暮らしの高齢者世帯が今まで以上に増加する傾向を見せているため、リスクはさらに増加することが予想される。行政当局は今後増加するこの「高齢者・餅窒息事故」に対し、今まで以上に積極的な姿勢で臨むことが求められよう。
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